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  1. 熊本県議会 1996-12-01
    12月10日-03号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    平成 8年12月 定例会┌──────────────────┐│  第 三 号(十二月十日)    │└──────────────────┘ 平 成 八 年  熊本県議会十二月定例会会議録   第三号──────────────────────────平成八年十二月十日(火曜日)   ────────────────────   議事日程 第三号  平成八年十二月十日(火曜日)午前十時開議 第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)   ────────────────────本日の会議に付した事件 日程第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)     ───────○───────出席議員(五十四名)                 幸 山 政 史 君                 坂 田 孝 志 君                 荒 木 章 博 君                 荒 木 義 行 君                 中 原 隆 博 君                 小 池 美千代 君                 岩 中 伸 司 君                 船 田 直 大 君                 早 川 英 明 君                 前 川   收 君                 江 口 隆 一 君                 田 上 泰 寛 君                 堤   泰 宏 君                 土 屋 歳 明 君                 小 杉   直 君                 河 村   修 君                 篠 﨑 鐵 男 君                 沢 田 一 郎 君                 下 田 耕 士 君                 林 田 博 達 君                 園 村 敬 二 君                 河 端 俊 夫 君                 大仁田 貞 夫 君                 高 野 誠 一 君                 吉 本 賢 児 君                 村 上 寅 美 君                 坂 本 哲 志 君                 渡 辺 利 男 君                 鬼 海 洋 一 君                 竹 口 博 己 君                 松 村   昭 君                 児 玉 文 雄 君                 池 田 貞 俊 君                 小早川 宗一郎 君                 前 畑 淳 治 君                 荒 木 詔 之 君                 島 田 幸 弘 君                 島 津 勇 典 君                 倉 重   剛 君                 山 本   靖 君                 本 田 良 一 君                 大 西 靖 一 君                 杉 森 猛 夫 君                 山 本 秀 久 君                 八 浪 知 行 君                 髙 田 昭二郎 君                 馬 場 三 則 君                 古 閑 三 博 君                 北 里 達之助 君                 米 原 賢 士 君                 池 田 定 行 君                 小 谷 久爾夫 君                 西 岡 勝 成 君                 広 瀬 博 美 君欠席議員(一名)                 田 方 初 美 君   ───────────────────説明のため出席した者          知事     福 島 譲 二 君          副知事    魚 住 汎 輝 君          総務部長   永 野 義 之 君          企画開発部長 中 原   広 君          福祉生活部長 佐々木 正 典 君          衛生部長   星 子   亘 君          環境公害部長 望 月 達 史 君          商工観光労働          部長     吉 丸 良 治 君          農政部長   岩 尾 映 二 君          林務水産部長 西   徳 義 君          土木部長   川 上   隆 君          国体推進局長 古 城 芳 臣 君          世界ハンド          ボール選手権 前 田 浩 文 君          大会推進局長          公営企業          管理者    米 村 嘉 人 君          教育委員会          委員長    田 代 二 也 君          教育長    松 尾 隆 樹 君          警察本部長  岩 橋   修 君          人事委員会          事務局長   牛 島   浩 君          監査委員   國 津 英 愛 君   ───────────────────事務局職員出席者          事務局長   池 田   隆          事務局次長  町 野 博 康          議事課長   豊 田 貞 二          総務審議員兼          議事課長補佐 田 中   明          主任主事   小 池 二 郎     ───────○───────  午前十時二分開議 ○議長(杉森猛夫君) これより本日の会議を開きます。      ──────○────── △議員提出議案第二号 焼酎の税率据え置きを求める決議 ○議長(杉森猛夫君) まず、お諮りいたします。 議員提出議案第二号が議席に配付のとおり提出されましたので、この際、これを日程に追加し、議題としたいと思います。これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(杉森猛夫君) 御異議なしと認めます。よって、議員提出議案第二号を日程に追加し、議題とすることに決定いたしました。 議員提出議案第二号を議題といたします。   ───────────────────議員提出議案第二号   焼酎の税率据え置きを求める決議 右の議案を、別紙のとおり熊本県議会会議規則第十四条の規定により提出します。  平成八年十二月十日提出      提出者 熊本県議会議員 倉 重   剛                  大仁田 貞 夫                  米 原 賢 士                  北 里 達之助                  古 閑 三 博                  馬 場 三 則                  髙 田 昭二郎                  西 岡 勝 成                  大 西 靖 一                  島 津 勇 典                  島 田 幸 弘                  土 屋 歳 明熊本県議会議長 杉 森 猛 夫 殿   ───────────────────   焼酎の税率据え置きを求める決議 本県の焼酎産業は、人吉・球磨地域を中心として本県経済の重要な一翼を担っており、本格焼酎乙類の生産量は年間二万キロリットルにも及び、年間出荷額も百二十億円にも達する本県の代表的な地場産業である。 しかしながら、その製造業者中小企業であり、経営基盤は弱く、多様化、高度化していく消費者ニーズ等社会経済情勢の変化への対応も極めて厳しい状況にある。また、最近ではロンドン条約による海洋投棄の規制強化に伴う蒸留廃液の処理問題、流通構造の変革に伴う価格破壊及び競争の激化など多くの問題を抱えている。 このような状況の中で、ウイスキーなどとの税率格差が国際的な問題となり、さきに国では、酒税格差是正を求めた世界貿易機関(WTO)紛争処理上級委員会の勧告に従うことを表明しており、焼酎にかかる酒税の大幅な引き上げが懸念されているところである。 焼酎にかかる酒税が大幅に上がることになれば、小売価格への転嫁は避けられず、売上げの極端な減少により、本県焼酎産業を支える製造業者に大きな打撃を与え、地場産業としての存続が困難になるばかりでなく、地域経済に深刻な影響を及ぼすおそれがある。 よって、国におかれては、地場産業としての焼酎産業の実情を勘案し、本格焼酎乙類の酒税の税率を据え置かれるよう強く求めるものである。 右、決議する。  平成  年  月  日                熊 本 県 議 会   ─────────────────── ○議長(杉森猛夫君) お諮りいたします。 ただいま議題といたしました議案に対する提出者の説明並びに委員会付託は、これを省略して会議で議決したいと思います。これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(杉森猛夫君) 御異議なしと認めます。よって、議案に対する提出者の説明並びに委員会付託は省略して会議で議決することに決定いたしました。 これより質疑に入ります。 質疑はありませんか。  〔「なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(杉森猛夫君) 質疑なしと認めます。 次に、討論に入ります。 討論はありませんか。  〔「なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(杉森猛夫君) 討論なしと認めます。 これより、議員提出議案第二号を起立により採決いたします。 原案のとおり可決することに賛成の諸君の起立を求めます。  〔賛成者起立〕 ○議長(杉森猛夫君) 起立多数と認めます。よって、議員提出議案第二号は、原案のとおり可決いたしました。      ──────○────── △日程第一 一般質問 ○議長(杉森猛夫君) 次に、日程第一、昨日に引き続き一般質問を行います。 下田耕士君。  〔下田耕士君登壇〕(拍手) ◆(下田耕士君) 皆さんおはようございます。 十二月議会、きょうは本会議の二日目、質問に立たせていただきました。皆さんに感謝申し上げます。 なお、日ごろは、執行部の皆さん、それから議場にお集まりの県議の先生方、県民の負託にこたえるために毎日一生懸命汗を流して活動されておられることにつきまして心より敬意を申し上げまして、質問に入らせていただきたいというふうに思っております。 実は、きょう質問項目がお手元に紹介されておるかと思いますが、私は、きょうは、今まで大変関心を持っておりました環境問題、私なりに研究、調査もいろいろしてきたつもりでございますが、環境問題について重点的にちょっと質問を進めていきたいというふうに思っております。そういうことで、まずは第一に、O157問題についてお尋ねをしたいというふうに思っております。 腸管出血性大腸菌O157、これは、岡山県の邑久町、さらに堺市での集団発生以来、全国に大変被害が広がりまして、全国民に大変深刻な不安を与えた事件であります。公衆衛生や医療の発達した近代国家であるこの我が国で、このような感染症が猛威を振るうということは、これまで予想だにされなかったことであります。今回このO157の問題は、いろんな分野に波及し、感染症対策の難しさを改めて教えられたのではないかと思っております。 これまで、国においては政府一体となった取り組みが行われ、県においても対策本部を設置し、組織を挙げてこの感染症の発生防止対策が講じられてきたところであります。今回のO157に対する過剰とも思える反応から、食品の買い控えなどが行われたりして、さまざまな分野にも影響を及ぼしたことは皆様御承知のとおりであります。現在においても、この過剰反応は完全に解消されているとは言えない状況にありまして、いまだに少なからぬ影を落としていることは極めて残念に思います。 そこでまず、中小企業に対するO157関連金融支援対策についてお伺いをしたいと思っています。 県が商工会、商工会議所を通じて行ったO157による影響調査によれば、七─八月の売上高が前年同期と比較して減少している企業が、調査企業数として千六百五十七企業の五〇・七%に達し、特に影響の度合いが大きい業種、例えば、食肉小売、食肉卸売、鮮魚小売等においては、売り上げが減少した企業の割合が八〇%を超えております。 このような中で、私は早い時期から県に対し、O157による中小企業者売り上げ減少などの被害の実態を正確に把握した上で、少しでも中小企業者の資金繰りを円滑にし、その経営の安定に支障が生じないように所要の対策を一刻も早く講じるとともに、これに関する情報を県民に広く周知徹底していただくよう強く申し入れを行ってまいりました。 それと同時に、私が心配いたしておりましたのは、それらの情報を公にするタイミングによっては消費者の不安心理を助長し、かえって無用の混乱を招きかねないのではないかということでした。その点、恐らく県におかれましても、発表の内容やタイミングをめぐって大変難しい判断を迫られたものと推察はいたしております。 そこで、今回県がとられた対策の内容、その後の実施状況並びに今後の対応について、商工観光労働部長にまずお尋ねを申し上げます。  〔商工観光労働部長吉丸良治君登壇〕 ◎商工観光労働部長(吉丸良治君) O157に関する金融支援についてのお尋ねでございますが、O157に関し、食品の買い控えなどの報道がなされてきました今年の八月に、直ちに県下の中小企業の実態を調査いたしました。この調査をもとにいたしまして、その結果、大きな影響を受けたと見られます食肉や鮮魚を初め食品関連の二十七業種を対象といたしまして、金融支援を行ってきたところでございます。 支援に当たりましては、県に十一ございます制度融資の中の経営安定対策資金について、その貸し付け要件を大幅に緩和いたしまして、さらにまた、そのほかの三つの資金につきましても、活用が十分図られるように、商工会議所等を通じ周知徹底を図るなど、所要の措置を講じてきたところでございます。 これらの措置による融資実績は、緩和措置の実施期間であります平成八年九月二日から十一月末までの間で、三十九件の二億九千四百万円となっておりまして、おおむね必要とされる資金需要に対応できたものと考えております。 なお、十二月以降につきましても、関係団体と密接な連携を図りながら、経営安定対策資金を含め制度融資の積極的な運用によりまして、中小企業者に対する円滑な資金供給に努めてまいりたいと、このように考えております。  〔下田耕士君登壇〕 ◆(下田耕士君) ありがとうございました。 ただいま商工観光労働部長より、状況の掌握、経過、それから実績などについて御答弁がございましたけれども、実は私も、経済委員会の方に所属、大仁田委員長のもとでやっております。そこでいろいろこういった問題が飛び出てくるわけでございますけれども、私は振り返ってみまして、このたび商工観光労働部がとられたこの対策、対応、タイミングを見たいわゆる打ち出し方、これは本当にいい時期であり、また、関係の中小企業に信頼、期待を寄せることではなかったかというふうに思っております。といいますのが、その結果が、今答弁がありましたように、当初は三カ月ですか、八、九、十、十一で、この件数も二十三件ぐらいで、融資、支援が行われました金額も、今言われた二億九千四百万円の半数ちょっとであったというふうに記憶いたしております。しかし最終的には、現在の段階で三十九件にこの金融支援策の件数が達しまして、二億九千四百万に金額ではなってきたということであります。ですから、そういうことを、商工観光労働部として、時期を見て、うまく県下中小企業向けにこの対策を講じられたことについては、大変評価を実はいたしておるわけであります。そういうことで、今後もこの件につきましては、この中小企業融資制度に対する相談の申し込みがいろいろまだ出てこようかとは思っておりますけれども、弾力的に企業を守っていただきたいというふうに思っております。 次に、O157関連で、教育長それから衛生部長に引き続いてお尋ねをしてまいります。 岡山県に端を発しました学校給食における本年の腸管出血性大腸菌O157による一連の食中毒事件、これは、以後全国の学校で絶対に食中毒を起こさないような万全の体制がとられてきたものと思っております。しかし、それにもかかわらず、二学期になりまして盛岡市の小学校や帯広市の幼稚園では総計六百名を超える感染者を出す食中毒が起こってまいりました。 幸い、本県ではこのO157による食中毒は起こっておりませんが、油断は禁物であります。そこで、本県の学校給食における食中毒対策の現状はどのようになっているのか、そして、今後どのような対応をとろうと考えておられるのか、お答え願いたいと思っております。 次に、衛生部長に関連ですのでお尋ねを申し上げます。 O157の問題が発生して半年をこういうふうに経過したわけですが、この件に関する記事もだんだん少なくなってきました。また、堺市及び岡山県では学校給食が再開されたと聞いております。このように、全国的にO157感染症は鎮静化してきているのではないかと思いますが、O157の感染経路がまだはっきりされておらず、今後とも散発的な発生は避けられないと言われております。つきましては、本県におけるO157に対するこれまでの経過と現状はどのようになっているのか、また、今後の対応についてどのように考えておられるのか、これをあわせて御質問申し上げ、御答弁をお願いしたいというふうに思っております。  〔教育長松尾隆樹君登壇〕 ◎教育長(松尾隆樹君) 学校給食におけるO157対策はどういうふうにやっているのかということでございます。 まず、県内のすべての調理場などにおいて検食保存のための冷凍庫、揚げ物などの加熱状況を測定するための中心温度計の設置等につきましてはほぼ完了したところでございます。そのほかの衛生機器の設置につきましても、それぞれの施設において現在鋭意努力をいただいているところでございます。 また、良質で安全な食材の確保についてでありますが、学校給食用食材を全県的に取り扱っております学校給食会において、臨床検査技師が、食材の細菌検査に加えましてO157検査をも新たに行うことといたしております。さらに検査対象も広げるなど、検査の内容や方法を充実させるとともに、検査結果につきましては県教育委員会に逐一報告いただくことといたしました。 なお、市町村教育委員会が直接業者から食材を購入することも多いわけでございますが、その際には、食材受け入れのための検収簿を使いまして、安全を十分チェックして学校給食に供するよう指導をいたしますとともに、調理マニュアルや八十二項目にわたります日常点検あるいは学校給食従事者の月二回の検便の実施などが厳守されるよう指導をいたしているところでございます。 さらに、学校教育におきましては、衛生的な基本的生活慣習を確立、例えば手洗いの励行、そういったものでございますが、健康的な暮らし方の教育は重要でございますことから、衛生健康教育のさらなる充実を図っているところでございます。 県教育委員会といたしましては、常に備えを怠ることなく、腸管出血性大腸菌O157等による食中毒の発生が未然に防止できるよう万全を尽くしてまいる所存でございます。  〔衛生部長星子亘君登壇〕 ◎衛生部長(星子亘君) 腸管出血性大腸菌O157等による感染者は、全国で十二月五日現在九千二百九十二名、そのうち亡くなった方十一名でございます。本県では十二月八日現在二十二名で、亡くなった方はおられません。 これまで県では、感染の未然防止や二次感染の防止等に対応するために熊本県腸管出血性大腸菌感染症対策本部を設置し、具体的な対策として、O157ホットラインや保健所における健康相談及び新聞広報等によって予防のための正しい知識の普及ということを行ってまいりました。それとともに、食品等の検査、健康診断の実施、学校給食等集団給食従事者食品営業者等を対象とした講習会の実施、関係施設に対する指導を徹底してまいりました。さらに、飲用水の検査方法につきましては、より迅速かつ鋭敏に検査できる新しい検査方法を導入し、感染の検体検査につきましても迅速に確認が行われるよう、検査体制等の整備を図ってきたところでございます。また、この感染症が指定伝染病に組み込まれたことなどもありまして、現在では予防対策等についてはほぼ確立されていると認識いたしております。 一方、本県におけるこれまでの感染者の発生はいずれも散発的な発生で、重症者もなく、十月以降は三件のみで、現在は落ちついている状況であります。また、ホットラインや保健所における健康相談、検便検査の件数も、七月をピークとして現在では激減しております。これらのことから総合して、八月一日以来設置しております対策本部につきましては、今後の推移を見ながら効率的運営を図るために、関係課から成る連絡会議への組みかえを検討していく所存でございます。  〔下田耕士君登壇〕 ◆(下田耕士君) ありがとうございました。 この問題は、学校現場あたりでは、特に父兄は心配をされておることでありますけれども、現場サイドではやっぱり私は大変だったろうと思います。この件で、いろんな見直し、洗い直し、チェック体制、そういったものを再整備をしていく、ここではこういう質問と討論でやっておりますけれども、現場サイドは、もうこれは大騒動ではなかったかというふうに想像いたしております。しかし、それによって、今後、学校給食の問題、現場の問題がうまくほかの面もあわせて改善されていくことであれば、これにこしたことはない、いい機会ではなかったかなというふうに思っておりますので、今後、学校現場におきましても、ぜひ、我が県においてはそういう問題が発生しないように、安心した学校現場になるようにお願い申し上げまして、また、衛生部の方にも、一緒にそういうことで、県のいわゆる衛生問題につきましてさらなる努力をお願い申し上げまして、次の質問に入らせていただきます。 さて、いよいよこれから環境問題に入りますが、皆さん質問項目を見られて、ちょっと時間がこれは早く終わるんじゃないかという予想をされておられるかもしれませんけれども、けさほど、ここに入る前に打ち合わせが終わったばかりで、けさこの文章の読み合わせをしてみましたところ全部で二十分しかなかった。通してみまして二十分しかない。しかしこれは、私は一生懸命今回は勉強をしたつもりだったんです。調査もし、研究もし、執行部の皆さんとも一生懸命研究して、今後の県の環境対策はいかにあるべきかということを一生懸命本当にやったつもり、自分としましても、これまで時間をかけまして、環境に関する資料をずっと収録いたしまして、たくさんの資料を集めて目を通しておるところであります。 ところが、質問時間が二十分ということで、はて、どうしたものかなというふうに思いました。また、環境問題については、この県議会でも、たくさんこれまでも皆さんがいわゆる質問をされておられる、関心を持っておられる、そのことも調べました。やはり環境問題は、最近急に浮上してきております。私も、これは環境の下田の異名をとるぐらいに一応今後頑張っていかなきゃならぬという気持ちを本当に持っております。それで、これからは議場の皆さんも、眠いかもしれませんが、耳の穴をかっぽじって、下田がせっかく一生懸命まとめた話で少のうはございますが、一緒に考えていただきたいというふうに思っております。 そこで、環境問題は、各部局にこれは広くかかわっておる問題でございますけれども、今度この質問は、環境問題から見た森林整備ということから切り口をとって、そして、各論から入って総論にまとめていくという手法でまとめておりますので、最後に知事さんに心ある魂のこもった御答弁をお願いしたいというふうに思っております。 さきに、先月でございました、経済常任委員会で、北海道の新宮商行というところに、これは木材会社でございますが、ここを実は視察いたしたわけであります。そこでの話なんですが、ここで取り扱う木材は七、八〇%が外材となっております。そのほとんどが中国が最近多い、そしてカナダ、それが熊本県でも外材に圧迫され、国産材を取り扱う製材業が減少し、やがては国産材が売れなくなってしまうのではないかという不安を実は感じておるところであります。 この森林、この県産材、こういった業界につきましては、この議員の中にも、大変その専門家、族議員というと表現が悪いんですが、そういった代表の方々が数名いらっしゃいまして、今度、下田君、あなたがやるんなら、ぜひこれば言うてくれんなという依頼も受けておりますが、お気持ちはわかりますが、私はこの件は環境問題で今回通していきたいと思っておりますが、その質問の中に加えますので、よろしく傍聴いただきたいと思っております。 ところで、森林の多い本県におきましては、地域環境の維持、形成等、森林との関係は非常に大きいものがあります。特に熊本の飲料水や工業用水などが豊富な地下水に頼っておりまして、この地下水はいわば熊本の生命線とも言うべき存在であります。その地下水の涵養に大きな役割を果たしているのが森林であります。豊富な地下水に恵まれているのも豊かな森林があるからであります。 このような地下水の涵養を図るために、私は、森林づくりは永遠の課題でなければならないと思っております。今日、林業の不振が長引いている中、森林所有者の方々の造林意欲が大変減退をいたしております。このことが、ひいては環境の悪化につながるのではないかと実は結びつけて心配をしておるわけであります。 このようなときに、本県の林業公社が方針転換をしたと聞きました。林業公社といえば、昭和三十六年の設立以来八千五百ヘクタールの造林を推進し、そのことが森林資源の造成や地域社会への経済的貢献を果たしながら、森林の持つ諸機能の維持、増進を通じて、地域環境に果たしてきた役割もまた大きいものがあると考えております。 その林業公社は、現在、平成九年度から平成十三年度までの五カ年を期間とした第六次経営計画策定のために調査検討中であるとのことでありますが、今般、新たに契約を結んでの造林はもう計画をしないというように決定したと聞いております。これは、前回自民党の政調会でも意見が二、三強く出たところであります。とすると、林業公社のこのたびの新たな造林を中止するということは、本来の目的の方針転換のようにも見受けられますが、県はこのことに対してどう思っていらっしゃるのか、まずお尋ねをしたいと思っております。 次に、公社の造林中止による地域への影響は、環境面に限らず、山村地域の雇用確保などに直接的、間接的に与える影響は大変大きいものがあります。そうしたことに対して、今後県はどう対処していくのか、あわせて林務水産部長にお尋ねを申し上げます。  〔林務水産部長西徳義君登壇〕 ◎林務水産部長(西徳義君) 環境問題から見た森林整備について、特に林業公社の取り組みについてのお尋ねでございます。 まず、林業公社が新たな造林を取りやめたことについてでございますが、県林業公社は、我が国が高度成長を迎える中、造林、育林等に関する事業を行うことにより、林業の発展と森林の持つ諸機能の維持、増進を図り、あわせて地域経済の振興と住民福祉の向上に寄与することを目的として昭和三十六年に設立され、現在、県、市町村、森林組合等が社員となっております。設立以来、県内における森林整備の主要な担い手として事業を実施してまいりました。 公社の行う森林整備は、土地所有者と分収契約を結び、公社が費用を負担しつつ行うものであり、創設時に造成した森林が順次契約の終期を迎えることから、平成十四年度以降には本格的な収穫が始まる状況にございます。 この間、公社の運営をめぐっては、木材価格の長期低迷が続く一方、保育、管理に必要な諸経費が増加するという経営環境の変化が生じております。また、分収契約どおりに収穫するとすれば、短期間に一斉かつ大面積の伐採をすることになり、環境面への影響も懸念されるため、伐採方法への配慮が必要となっております。 平成九年度から平成十三年度までを計画期間とする第六次経営計画におきましては、こうした問題に対応した具体策を検討することが必要となっていることから、一たん新たな造林を中断したものでございます。 県としては、新規事業の中断は、事業運営を担当する立場にとって苦渋の選択であるものの、今後の公社運営を適正に行っていく上で避けられない判断と認識しております。市町村等、ほかの社員ともども対策の検討を深めてまいります。 次いで、公社の新規造林中止による環境面や山村地域の雇用面への影響についてでありますが、林業公社の新規造林は、ここ数年来五十ヘクタール程度まで減少してきており、県下の造林面積に占める割合が小さいので、直ちに環境問題に波及するものではないと認識しております。 一方、就労の機会の少ない山間地域での雇用の確保については、事業の執行面で配慮するなど適切に対応してまいりたいと考えております。  〔下田耕士君登壇〕 ◆(下田耕士君) ただいま林務水産部長から答弁いただきましたが、その造林問題には鋭意検討を進めていくということでございました。しかし、傍ら環境問題に対しては、この新規の造林の中断そのことが直接環境問題に影響を及ぼすものではないと認識をしておるということについては、これは絶対誤認であります。 先ほど、冒頭ちょっと申し上げましたように、環境問題というのは、これは各部局、全分野に広くかかわっておりまして、このずっと集めました私の資料の中にも、いろんな角度から森林に対する検討がこれから必要であるということが出ておるんです。 私の郷里である御船町においては、ここに山林五十ヘクタールを町に寄贈しておる。何のためにこれは寄贈しておるかというと、この上益城郡御船町の御船川の支流、八勢川ですが、七滝というところなんですね、ここに私財を投じて石橋を築いた豪商林田能寛さんという方が、いわゆるこの守る会がございまして、その基金千五百万円で山林五十ヘクタールを購入して、そして水資源保全に役立ててもらおうと、この一月に寄贈しているわけであります。いいですか、これは民間の方の考えておることですよ。同町では水不足が実は発生しておる。それで、同町の町長も、ぜひこれから造林、植樹をここに行い、森を築き水を守っていきたいということをはっきり言っておられるわけであります。だから、この造林を中止するということが環境問題に即影響がないということはこれは大変な誤認でありまして、植林は植えてすぐ育たない、そこ三年、五年、十年とたって幹が大きくなり、枝が出て葉がたくさんついていくわけであります。ここに雨が落ちまして、部長、きょうは雨が降っておりますよ、朝からぼちゃぼちゃ雨音がしておりましたけれども、あの雨が森林がないと地下に浸透しないで地球上の表面を流れていく、この後河川行政についての整備のあり方について入ってまいりますが、ダム問題もこの河川に出てきますが、森林のいわゆる緑のダムというのは御存じですか、緑のダム。いわゆる洪水も、この森林をたくさんつくっていくことによって水害を防いでいくわけであります。なお、地下水の涵養にこれが大変役立っていく、だから、そういう意味で、ぜひこの造林問題は再検討を関係部局でお願いしたいというふうに思っておるところであります。 次に、河川問題について入ってまいります。 今後の河川整備のあり方についてお尋ね申し上げますが、もともと河川は、人間が人工的につくったものではなく、それ自体が自然を構成する重要な一要素である。しかしながら、我が国の平野のほとんどがこの川が運んだ土砂によってつくられた沖積平野であり、国土の一〇%にすぎないこのはんらん区域、ここに全人口の約五〇%、全資産の約七五%が集中しておる。その結果、河川を自然のまま放置すれば大災害が発生し、多くの人命や財産を消失してしまう結果となることは皆様御承知のとおりであります。 このため、例えば、我が県におきましても、加藤清正公を初め多くの先人たちが川を治めるために多大な努力を傾注してきたことは、現在残されておる多くの遺構からも知ることができるわけであります。しかし、近年におきまして、六・二六白川大水害、これを初めとして、依然毎年のように梅雨前線や台風による災害が発生しております。これらの災害をなくすために、現在さまざまな事業が実施されております。 特に、高度成長期を経て、流域の急速な開発と水需要の増大に対応すべく、河川の洪水、はんらん防止、あるいは水資源開発が国家的急務となり、近代技術を取り入れた大規模治水、利水事業、これらが実施された結果、治水安全度は大河川を中心に著しく向上し、特に一度に多くの人命が犠牲になるような従来型の災害は、ここに来て非常に少なくなってきておるわけであります。 しかし、一方で、現在身近にある河川を見てみますと、我々が子供のころ遊んだ、どこででも泳げる、どこにでも魚のいる清い流れの河川が少なくなってしまったのも事実であります。その原因としましては、確かに産業経済の著しい発達や生活様式の変化に伴う流入水の汚濁が大きな原因の一つではあるでしょう。しかし、経済発展による急速な開発に対応し、限られた空間の中で、より安全な河川をより早く整備するという流域の要請に効率的にこたえるために、この時期に、著しく品質が向上した、また大量生産も可能となったコンクリートによる河川整備が全国的に推進されてきたわけであります。 この結果、河川が本来持つ自然の側面、いろいろな魚が泳ぎ回り、またさまざまな生物が生息し、子供が遊び回り、人々が憩うような川づくりに対する配慮が傍ら欠けてしまって、このことが同じような重要な原因の一つになってしまった。これと同時に、河川流域の開発や都市化は依然として進展しており、従来人の住まなかった低地や傾斜地にも宅地開発等が進んだことで、いわゆる都市型災害や局地的な集中豪雨による中小河川の洪水、土石流による被害は依然として毎年のように発生しておるわけです。 熊本市あたりでも、坪井やそれから健軍、それから水前寺周辺、この辺にちょっと集中的に豪雨があると、いわゆる都市整備が進んだがゆえに、いわゆる都市型水害という、いわゆる水害が発生するわけであります。都市が整備されることによって水害が発生し出した。このように、この整備にはやはりいろんなプラス面、マイナス面が結果的に出てくると思いますが、潤いやゆとりという言葉が盛んに使われる現在、県民が求めているのは、災害のない安心して生活できる安全なまちづくりであり、同時に自然豊かな河川整備、人と自然が共生できる川づくりではないでしょうか。 例えば、川辺川ダム等の大規模ダムの建設においても、苦渋のうちに先祖伝来の土地を手放される方々、また出水のたびに水害に対する不安や恐怖におののき、一日も早い整備を願っておられる方々、また川に生活を求める人々、あるいは今ある自然の保全を、自然の中で安らぎを求める人々、それぞれの人々がそれぞれの立場で意見をお持ちになっておられます。これはもう新聞紙上、川辺川ダム問題は、もうほとんど毎日のように一時出たことがありますね。 このような中で、行政は、長期的見地に立って、計画の必要性や合理性、または整備後の河川の姿や自然に対する配慮をわかりやすく説明し、これらに対する流域全体の意見をよく把握し、来るべき二十一世紀に向かって、安全で、自然豊かな、人と自然が共生できる河川整備を推進していくことが必要であると思いますが、県は、今後の河川整備に当たってどのようなまちづくりを進めていかれる御所存か、その辺をお伺いしたいというふうに思っております。 私、実家が御船町の七滝にありますが、時々帰ります。あの御船川が、嘉島から御船川沿いに入りますが、二方コンクリ、左右両岸コンクリート詰め、飛行場の滑走路みたいにしておる、ずうっと御船の町をその二方コンクリが占めている。これはあそこで、ちょっと水が出て、ちょっと子供が足を突っ込む、捕まえるものもない。だから、ああいう整備の仕方でも、いわゆるそこに何か災害時に備えてのパイプあたりを何カ所かに設置しておく、そういう配慮も私は必要ではないかと思っておりますが、一応土木部長に今後の河川整備についてちょっとお尋ねをいたします。  〔土木部長川上隆君登壇〕
    土木部長(川上隆君) 河川の整備は、従来から治水、利水を主眼としながら、社会経済の変化にも応じつつ、堤防やダム等の整備を図ってきたところでございます。 最近では、国の河川審議会の答申にもあるとおり、河川が本来有している潤いのある水辺空間や生物の多様な生息、生育環境の確保、健全な水循環系の確保等に重点を置いた整備が強く求められております。県でも、安全性の確保や利水に加え、自然に配慮した瀬、ふちや水際の保全、創出、魚が上りやすい魚道の設置、コンクリート以外の自然に優しい材料の活用等、多自然型工法を極力採用し、工事完成後、河川の持つ自然ができるだけ早く回復するような整備に努めているところでございます。 また、計画や実施に当たりましては、河川の各流域で安全性や自然について多くの意見があるところであり、可能な限り、これらの地域住民の意向を反映した川づくりを進めることが今後の課題であると考えております。 これらを踏まえまして、人と自然が共生できるような河川整備を進めてまいる所存でございます。  〔下田耕士君登壇〕 ◆(下田耕士君) ありがとうございました。 この件での質問の打ち合わせをしておったとき、四日前だったですか、ちょうど新聞に「環境保全の河川行政を」と、部長ごらんになりましたでしょう。これは河川審議会でいわゆる答申をしておる。これは提言を法改正も含めてしておる。これはどういうことかといいますと、「建設相の諮問機関「河川審議会」は四日、これまで「治水」と「利水」の視点しか盛り込まれていなかった河川法の目的に、「良好な河川環境の形成と保全」を新たな柱として追加することなどを求める提言「今後の河川制度の在り方」をまとめ、亀井静香建設相に提出した。 同審議会は昨年三月と今年六月の二回、環境保全をなおざりにしてきたこれまでの河川行政の大転換を求める答申を提出。提言は、答申の実現に必要な河川法の改正項目を具体的に列挙した。」と、ずっともろもろ出ておるわけです。提言が、いわゆるこのコンクリート三面張りの時代ではもうないということを強く主張しております。そして、川を排水路としてしか見なかった従来の視点を強く批判しておる、河川環境の保全と形成の必要性を訴えておるわけであります。いわゆる川をよみがえらせるということを言っておるわけであります。 この手法として、いわゆる多自然型の手法、工法を取り入れていくということがはっきり建設省でも打ち出されておりまして、どんどん今その方向で進んでおりますので、ぜひ河川整備の際には、そこに多自然型の整備、まあ災害、水害でできないところもあろうかと思いますが、ぜひその辺を極力線引きをして、いわゆる詰めていっていただきたいというふうにお願い申し上げまして、時間がだんだん進んでおりますので、次の質問に移ります。 企業誘致に伴う工場排水の問題ですが、近年私たちを取り巻く自然環境は、地球規模の温暖化、オゾン層の破壊、森林の減少など、新たな環境問題がクローズアップされているところです。本県においても、身近な環境問題として、白川などの河川水質において改善が見られない状況にあるなど、懸念される問題は依然として存在しております。 現在、県では、工業振興策の大きな柱の一つとして企業誘致を推進されているところですが、企業誘致に際し、商工部局として、工場からの排水対策についてどのような取り組みをされているのか。また、大津町の熊本中核工業団地に進出を表明しておる三井ハイテックは、近々進出予定地に建設着工という新聞報道が何回か出ましたが、その件につきましても、排水の安全対策のあたりをちょっと御答弁願いたいというふうに思っております。  〔商工観光労働部長吉丸良治君登壇〕 ◎商工観光労働部長(吉丸良治君) 企業誘致は地域の活性化と雇用の場の確保等に大きな効果をもたらすために、積極的に取り組んでいるところでございます。 お尋ねの企業の進出に伴う工場排水対策についてでございますが、まず、有害物質に関する本県の排水規制は、いわゆる上乗せ条例を設けるなど、全国の中でも最も厳しい規制となっておりまして、誘致企業にはこの厳しい基準をクリアしていただく、そういうふうに要求いたしております。 また、個々の誘致に当たりましては、環境公害部と連携をとりまして事前に調査を行うなど、十分な注意をもって企業誘致に取り組んでいるところでございます。 さらに、進出企業と受け入れ市町村との間では環境保全協定を締結し、地域住民の生活環境の保全に万全を期していただくよう指導をいたしているところでございます。 特に企業排水の問題につきましては、平成七年度において、専門機関に対し立地環境整備調査を委託いたしまして、企業排水の安全性や河川への影響等について調査研究の報告をいただいたところでございます。この報告等を踏まえながら、安全な企業排水対策に取り組んでいるところでございます。 次に、三井ハイテックの熊本工場建設につきましては、昭和六十二年に熊本中核工業団地への進出表明以来、着工が非常に延び延びとなっておりましたが、同社としては、今回新聞報道等にもありましたとおり、年明けにも着工の方向と伺っております。詳細な計画につきましては、同社において現在作成中と聞いております。また、同社の工場排水につきましては、さきに申し上げました専門家による調査研究報告書に照らし、本県の排水基準をクリアできると理解いたしております。 今後とも、企業誘致に伴う排水対策につきましては、重要な課題であるだけに、環境公害部を初め、関係部とも十分連携をとりながら、環境保全対策に万全を期していきたい、このように考えております。  〔下田耕士君登壇〕 ◆(下田耕士君) 時間がだんだんなくなってきました。 次の項目、今商工観光労働部長にお尋ねしましたのは、企業誘致を行う際に、そういう問題が必ず関連していろいろ環境を汚染していく原因も持っておりますので、本当はこれは環境公害部の問題なんですけれども、誘致という観点から御注意も一応お願いしたいというふうに思って質問したわけであります。時間がないので省きます。 それで、次に、いよいよこれが私が今議会で一番言いたかったことなんですが、質問原稿一応つくっておりますが、原稿なしで、環境公害部長、いかがでしょうか。そして答弁の方も、答弁要旨が用意してあるかもしれませんが、答弁要旨なしということでやるのも非常に生身のある質問、答弁と、心のある質問、答弁ということでどうかなというふうに思っておりますが、知事さんに対する質問も、これはそのまま関連しておりますので、一緒に御質問申し上げたいというふうに思っております。 工場排水に関するいわゆるチェック体制、またその監視体制、実はこれが大変重要なわけであります。 現在、河川の汚染は、工場排水によって、これが約四五%、それから生活排水、これが五五%、私が今までずっと調べておる限りにおいては。で河川が汚染されておる。白川はワーストワンにランクされました。去年は三位だったんですが、九州の一級河川の中でワーストワン。これは、環境基本計画がここでできましたけれども、それはこれからの企業進出に伴う排水の問題、あるいは住宅を建てる際の浄化槽の──今まで単独浄化槽でやっておりましたけれども、これを合併浄化槽に切りかえるという通産省、建設省のいわゆる方針も出ておりますが、実は何と我が県の六十万世帯のうちの十一万以上はいわゆる単独浄化槽。そのうち一万近くは合併浄化槽に切りかえられておるという話を聞きますが、この環境基本計画を見てみますと、これからの問題、そういった過去の問題、汚染をしている白川をワーストワンにしたその原因は何かと、そこをもっとチェックして、そして改善策を講じていく。そのために、私がここで提案したいのは、住宅を建てる場合のいわゆる浄化槽、単独浄化槽でやりますが、これを合併にしていく、その際の建築課、市町村で建築確認をとりますが、その際に合併浄化槽に持っていく、あるいは現行の単独浄化槽でまだ十一万も生活をしている、その人たちに期限を、例えば三年とか五年とか切って、そして合併に切りかえていってくださいと、すると洗剤からトイレのいわゆる汚水がこれでもって十分の一に減少するんですね、現在の浄化槽より。 ○議長(杉森猛夫君) 時間が少なくなりましたので、簡潔に願います。 ◆(下田耕士君) (続)そういうことで、それを提案しておきます。 そういうことで、時間がなくなりましたけれども、知事さんには、環境問題に対する基本認識と今後の環境行政への──これまでも申し上げましたんで細かい内容はもう申し上げませんので、その基本姿勢等についてお願いしたいというふうに思っております。  〔知事福島譲二君登壇〕 ◎知事(福島譲二君) 林業公社の造林休止について、私も率直に言って問題があるのかなと、今感じております。造林面積が小さいから影響が少ないという部長の答弁がありましたが、むしろ造林面積がそのように小さくなっていいのかなというところに既に問題があるんだろうと思います。公社としての経営の健全性を確保することも重要な課題でありますが、何とか森林を守り育てるという重要な課題と両立する方向で、なお十分にひとつ検討をしたいと思っております。県議会、林業に精通しておられるたくさんの皆様方おいででございますので、十分また御指導いただきたいと思っております。 環境問題は、国際的にも大変大きなテーマになっておりますが、特に美しい自然環境、また水資源、そして水俣病という大変惨禍を経験をしておる本県にとって、環境問題は何よりも重要な行政的課題でありますし、県民の関心も大変大きいことを改めて痛感をいたしております。 今回の環境基本計画を策定するに当たりましても、たくさんの皆様方から具体的な御提案をいただき、これを繰り入れながら新しい環境基本計画を策定をいたしましたが、これをしっかりと推進していくためには、市町村あるいは事業者、県民と一体となって取り組んでいかなければならないと思いますし、まず県みずから率先して行動に移してまいるということと、単にこれは縦割りの行政で、環境行政の中だけで処理できる問題でもありません。全庁挙げて取り組んでいかなければならないという決意の中で、昨日の庁議の中でも指示をしたところでございます。しっかりと環境行政に取り組んでまいりたいと考えております。 残念ながら時間がなくなりましたので、心ある魂のこもった答弁にならなかったことをお許しをいただきたいと思います。  〔下田耕士君登壇〕 ◆(下田耕士君) 時間がちょっと経過いたしまして本当に申しわけございません。知事さん、本当に心ある御答弁だったと私は思っております。 政治は愛というふうに私は前回の選挙から打ち出しておりますが、知事さんの選挙のときも、私の事務所で知事さんが、その垂れ幕を見られて政治は愛だと…… ○議長(杉森猛夫君) 質問を終結してください。 ◆(下田耕士君) (続)同感だと言われましたので、この環境問題、後世に残す自然、それをぜひいいものをつくって残していただきたいとお願い申し上げまして、私の質問をここで終わりたいと思います。 どうも本当にきょうはありがとうございました。(拍手) ○議長(杉森猛夫君) この際、五分間休憩いたします。  午前十一時五分休憩      ──────○──────  午前十一時十四分開議 ○議長(杉森猛夫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 田上泰寛君。  〔田上泰寛君登壇〕(拍手) ◆(田上泰寛君) 統一会派「太陽」の田上泰寛でございます。 きょうは三回目の一般質問をする機会をいただきまして、心から感謝申し上げたいと思います。適度なこの緊張とリズミカルな躍動を覚えておりますが、ぜひこのリズミカルな躍動をさらに後押しをしていただくということでの知事を含めた執行部の皆さんの答弁を冒頭申し上げたいと、このように思います。 また、先ほど、下田議員、格調高い、しかもユーモアのある質問をされまして、その域にいつ行くのかなという思いもいたしましたけれども、私は私のスタンスでいきたいと、このように思っております。 早速でありますけれども、発言の通告に従って質問してまいりたいと思います。 まず、内なる国際化についてでございます。 これまで二回にわたりまして、国籍を含めた国際化問題について質問をいたしました。大きな課題であるということも十分認識をしておりますけれども、いささか知事と食い違う部分が多うございましたけれども、その後の県当局を初めとする理解、さらには全国的な世論の喚起もあった中で、それなりのこの国籍問題に対する門戸の開放等についての広がりが出てまいりました。きょうは、その意味で、簡単ではありますけれども、先般の白川自治大臣の談話を契機とする知事の考え方についてお尋ねしていきたいと思います。 これまで三回、きょうを入れて三回になりますが、十一月の二十二日、白川勝彦自治大臣は、地方公共団体の職員の任用について、こう言っておられます。それぞれの地方公共団体が公務員に関する基本原則を踏まえつつ、職務内容や人事運用の実態等も踏まえ、責任を持って適切に判断してもらうという自治大臣の談話であります。いわゆる自治体の自主的判断を尊重するという姿勢というものが明らかになったものと感じております。そしてまた、公務員に関する基本原則を踏まえた任用の確保と適正な人事管理の運用という点について、制度的にも運用の面においても工夫をし、適切な措置を講じている場合はと述べ、条件整備によっては、国籍条項の撤廃も可能というふうに示唆しているものと思われます。さらに、外国人雇用機会の拡大を目指す考えを歓迎すると表明いたしたわけであります。 さらに、東京都は、定住外国人に地方参政権を認めるべきだとする報告書を先般まとめまして、法改正を求める方針を明らかにしております。これも、定住外国人も自治体を構成する一員として、地方公共団体の長及びその議会の議員の選挙権、被選挙権を行使し、地方自治に参画できるようになることが、外国人を地域社会の一員として受け入れ、その声を地方行政に反映し、自治体の国際化につながるものと考えられるからと、このように思うわけであります。 これまで、私の二回の質問に対して、知事はこういうふうなことをおっしゃっております。公権力の行使またはその意思形成に携わる公務員になるには日本国籍が必要とするというこれまでの自治省の考えを踏襲するということでございました。しかし、先ほど申し上げましたように、その後、状況も一歩、二歩と大きく変わっているのも現実でございます。 それで、知事にお尋ねでありますけれども、今回の自治大臣の談話等を契機に、職種の拡大を初めとして、この県庁内に検討委員会、仮称でありますけれども、これを設け、国籍条項の撤廃をしようとされるお考えはあるのか、お尋ねをしたいと思います。  〔知事福島譲二君登壇〕 ◎知事(福島譲二君) 自治大臣の見解は、正確、詳細には承知しておりませんが、新聞報道等で見る限り、大臣の見解によって従来の自治省の公式見解が若干ふらつきかけているのかなと、むしろ多少不思議に思っております。 しかしながら、そもそも私の従来の考えは、自治省の主張に盲従してきたというつもりは全くありません。私自身の考え方に基づくものであります。したがって、前向きの答弁ではなくて御意に沿えませんが、改めて私の考え方を申し上げたいと思います。 公権力の行使は私権の行使の一翼として行われるものであって、かつ、それは憲法やその下に制定されるもろもろの法令に基づいて、国家目的あるいは国家利益に相反しないように進められるべきものであると思っております。公務員となれば、当然日本国憲法を尊重し擁護する義務を負う立場に立たなければなりませんし、これは憲法に規定しておるとおりであります。日本の国益を中心として行動しなければならないのでありまして、このようなことを外国人に強いることについては、むしろ在日外国人の側から拒否反応を招くことになるんではないかなと考えております。 このような考え方は国際化の時代にそぐわないという、多少感傷的な議論がまま提起されがちでありますが、他国籍の人に統治されるところは独立国ではないといってよいと思います。だからこそ、国会、県会、市町村議会の議員や知事、市町村長は日本国民であるべきことが法定されておりますし、その選挙権すら、これにはまだ問題があるかと思いますが、日本国民に限定されているのではないかなと思っております。大体、日本国民以外の外国人には、外務省、県で旅券すら発行することもできないわけでありますし、そのような人に公権力を行使させることはいかがなものかなと考えております。 公務員、公権力の範囲については、いろいろ議論があることだろうと思います。技術的、専門的職種で、公権力の行使や公の意思の形成に携わる可能性が低い職種については、現在も国籍条項を必要としないこととしておりますし、従来の三職種、看護婦、保健婦、技能労務職、この三職種に加えて、本年度からは、作業療法士、歯科衛生士の二職種についても受験資格から国籍条項を廃止したところであります。今後とも、外国人の採用機会の拡大については、人事委員会とも協議してまいりたいと考えております。 なお、高知県も、国籍条項の完全撤廃の方針を変更して、課長以上への昇任を制限するという川崎方式導入を検討し始めたと伺っておりますが、そのような新たな差別を生むやり方も私はとらないところであります。かつ、課長以上になろうと志さぬような無気力な職員を採用するというつもりもありません。 最後に、御提起の外国人登用にどうしても門戸を開くということにするのであれば、まだ十分詰めておるわけではありませんが、公務員の国籍条項を外して受験の門戸は開放する、そして合格したときには帰化を条件として採用するというようなやり方もあるんではないかなと。しかし、これも最近の論調からすると、いろいろとまた論議を招くことであろうと想像をいたしております。 少し長くなりましたが、せっかくの機会でありましたので、本件についての私の考え方を申し述べさせていただきました。  〔田上泰寛君登壇〕 ◆(田上泰寛君) なかなか議論がすれ違っております。先般も申し上げましたように、その在日のアイデンティティーをも奪うのではないかなということも申し上げたつもりでありましたけれども、そうじゃないと。ところが、受験の門戸は開くけれども、帰化を条件という、質問するたびにより厳しくなるような感じも受けておるわけでありますけれども、これについては、すぐには解決できない部分でもあろうかと思いますので、知事とはまたいろんな機会を通しながら論陣を張っていきたいと、こういうことを申し上げたいと思います。 ただ、きょうの新聞にも載っておりましたように、国体の門戸、外国人参加は自然の流れというようなことでありました。これも、この六月に私もこれについて一般質問しました。そういう意味では、国体推進局の皆さんを含めて、いろんな御努力をされているということで、敬意を申し上げる次第でございます。ぜひ、九九年の国体についても、この国体門戸開放ができるというようなことをも心から念じておるわけであります。 さて、次に入ってまいりたいと思います。公共事業のあり方についてでございます。 今の日本の公共事業がさまざまな面から問い直しをされております。景気浮揚に対する疑問といった財政政策からの批判、特に、地方の公共事業依存型経済からの脱却という構造改革の面から、また環境の面、さらには社会的な有用性からの指摘がなされております。年間五十兆円と言われるこの公共事業、貴重な税金を投入している事業が、国民のニーズや時代を反映したものかどうか、今その改革の方向が問われていると思います。それは、ダムや堰など大規模公共事業のあり方を見直そうとする論議が全国的に高まっている証左でもあります。 建設省は、批判が続く長良川河口堰問題を契機に、十三のダム計画を対象に地元の有識者から成る審議会を設けました。そして、既に四つの審議会で計画の継続が答申されております。地域の意見を反映させるために設置されたこのダム審議会は、地方建設局長の諮問機関という位置づけで、事業者の内部機関でしかない、そのために透明性、客観性が確保できるのかという疑問の声も上がっているわけであります。 県内では、御承知のとおり、川辺川ダム審議会が、事業は継続することが妥当との答申を出しました。川辺川ダムは、計画発表から三十年にして本体着工に動き出したわけであります。しかし、地域づくり、環境保全など、なお課題も多く残しているのも事実でございます。 一方、天草郡河浦町と牛深市にまたがる国営羊角湾農地開発干拓事業は、二十数年に及ぶ工事の中断の末、平成七年度から三年間事業を休止しており、来年三月末には具体的な利用策を盛り込んだ中間報告がまとまる予定であります。この事業も三十年という長い間に計画の風化がささやかれているのでございます。 ところで、外国に目を向けてみますと、アメリカではダムの政策の転換が始まっております。かつて、TVA計画、テネシー川流域開発公社に見られるように、ダムは、電力をもたらした産業を興し、失業を救済する希望の星であったわけであります。しかし、間もなくアメリカのダム行政の転換が日本に伝えられるようになりました。それは、アメリカのダム開発の中で、陸軍工兵隊と並びもう一方の雄であるアメリカ内務省開墾局のダニエル・P・ビアード総裁のアメリカにおけるダム建設の時代は終わったとした、一九九四年五月、ブルガリアにおいて開催されました国際かんがい排水委員会年次総会での発言であります。そしてまた、その年の十二月、南アフリカ共和国で開催されました巨大ダム委員会での同趣旨の発言、また、一九九五年二月、日本弁護士連合会の招聘で日本を訪れ、同趣旨の講演をなされたことで、日本国内でも注目を浴びることになったわけであります。なぜそうなのか。それは、アメリカこそ日本におけるダム建設のお手本であったわけであります。そしてこの政策転換を支えたのが一九七〇年の国家環境政策法、ナショナル・エンバイロンメンタル・ポリシー・アクト、NEPAというようなものでございます。同時に、情報公開法など、きちっとしたシステムがアメリカにあったということについては論をまたないところであります。現在アメリカでは、オーバンダムなどの建設途中での中止やエルワー川などのダムの撤去、環境を回復するためグレンキャニオンダムなどでの大規模な放流が始まっているわけであります。 今日、日本経済を冷静に見ますと、日本もアメリカと同じ方向へ河川政策や公共事業政策を変革させるべき時期に来ていることは明らかであろうかと思うのでございます。しかし、日本では、長良川河口堰を初めさまざまな公共事業が、計画当時の目的を失い、環境への影響が懸念され、投入される費用に見合うだけの便益を得られるのか疑問になっているにもかかわらず、依然として見直されることなく推進されているのが実態であると思います。 私は、公共事業が不要と言っているのでは決してございません。しかし、予算が本当に国民のためになっているのか、建設会社をもうけさせ、環境を破壊しているだけではないのかという指摘をする識者の声を無視するわけにはいかないと思うのであります。 官僚のやることは間違いないなどとはもう言える段階ではないと思います。住専での大蔵省、薬害エイズ、そして今回の福祉法人の厚生省、はたまた通産官僚のスキャンダルを見る限り、国民はだれを信じていいのかわからないと、そう思っていると思っております。 時あたかも、今年は河川法が公布され百年目の年に当たるわけであります。国家大計百年に汚点を残さないためにも、ここらでもう一度公共事業のあり方について考えてみる必要があろうかと思いますが、知事としてのお考えをお尋ねしたいと思います。  〔知事福島譲二君登壇〕 ◎知事(福島譲二君) 公共事業について、随分と幅広い見地から御意見をいただきました。 残念ながら、アメリカのダム建設の時代は終わったという背景については何ら知識を持ち合わせておりませんのでお答えのしようもありませんが、私は、まだまだ日本においては、治水、利水、利水もあるいは農業用水、工業用水、上水道、発電と、こういった利水面で適地が求められるのであれば、その必要性が十分にあるケース、残っているんではないかなと思っております。ただ、御指摘のように、投資効果について十分の検討がなされなかったり、事業開始以来長年月を経過したために事業目的そのものが揺らいだり問題が発生している事例があることも否定できません。事業を手がけたから何が何でもそのまま進めなければならないというような漫然とした姿勢で取り組んではならないという意味では、御質問の趣旨は十分理解しなければならないと思いますが、公共事業が建設会社をもうけさせ、環境を破壊しているだけではないかというような意見があるとすれば、それはいかがなものかなと感じております。 本県においては、県民の多様なニーズに対応した豊かな優しい社会経済生活を県内各地域で実現していくための基礎となる社会資本の整備がまだまだ不足しているのが実情でありまして、県総合計画の実現のためには、生活基盤や産業基盤の整備、災害に強い県土づくりを進める公共事業がまだまだ求められているところと思っております。特に本県では、地域経済への直接、間接の生産誘発や雇用拡大効果など、公共事業の役割は依然として大変大きなものがあると思っております。 公共事業の今後のあり方については、緊急かつ重要な施策への重点投資の徹底とそのための整備目標の明確化が肝要でありまして、事業化に当たっては、効率面や環境保全面の要請等も十分に踏まえながら進めてまいりたいと考えております。  〔田上泰寛君登壇〕 ◆(田上泰寛君) 確かに、おっしゃる部分も私も理解をしております。これまでの社会資本投資という立場からは、まさに知事のおっしゃる部分もごもっともだと思いますが、先ほど申し上げました趣旨については、よっぽどもう一回、この付近で考え直していただくというきっかけにしていただきたいなと思っているわけであります。特に、巨大なこの公共事業、イギリス人のジャーナリストのフレッド・ピアス氏という人については、もうダムはむだだというふうなことで、世界を回った現状と問題点が出版をされておるわけであります。この辺にも十分耳を傾けるということも我々のとるべき道ではないかなと、このように思っているわけであります。 これまで、特に河川行政、先ほどの下田議員の質問があっておりましたけれども、洪水流量だけをどんどんふやして、すべての水といいますか、それを川に流してしまって、一滴も外に出さないというふうな、今までの河川工学の考え方があったというふうに思います。しかし、やはり私たちはもう一回、この付近を考えるといいますか、水害を受け入れる思想といいますか、そのこともあわせて追求すべきじゃないかなと、その根底から公共事業というものを問い直すということが必要だというふうに思います。 川辺川ダムのお話も先般ありましたけれども、こういうふうなことをおっしゃっている方がありました。森は海の恋人、川はその仲人という哲学者の梅原先生の言葉であります。言うなれば、川は自然に流れるものである、ダムは不必要だというようなことだというふうに思っております。こういう視点もあるということを申し述べさしていただいて、次に入っていきたいと思っております。 中期財政計画についてのお尋ねでございます。 これまで私は、四月と九月の総務常任委員会で、中期財政計画の策定について総務部長にお尋ねをしております。その席、総務部長はこう述べられております。以前にも中期見通しを作成し公表した例はあり、県民に公表できるかどうかを含めて作成を検討したいと。私はその前向きな姿勢に期待したものでありましたけれども、いつまでたっても計画の公表はなく、九月の総務委員会で再度ただしたわけであります。総務部長、こうおっしゃっております。歳入面での不確定要素が多いことがわかり、見通しを立てることは難しいと難色を示されたわけであります。 県は、御承知のとおり、今、平成十一年の国体関連の施設、新県庁舎や熊本テルサ、産業展示場、県立短期大学校の建設、現庁舎の補修、そしてチッソに対する金融支援など相次ぐ中で、地方債の増発や基金の取り崩しで、何とかやり繰りをなされているのが現状であります。 今経済の成熟期という新たな局面を迎え、これまでとは異なった基軸による新たな事業計画を提示することが求められております。成熟化、空洞化などの経済体質を変化させる要因が強まる中で、右肩上がりの成長を前提とした今までの延長線上とは異なる新たな基軸の上に立った計画の提示が必要になってきております。こうした事業計画の提示と一体の課題として求められているのが財政の中期計画の提示であります。財政は県の事業計画を裏づける重要な根拠であり、県民負担の評価をする場合、重要なファクターとなるからでございます。 低成長時代に移行した今、限られた財源をどのように中期的、安定的に配分していくのか、そのグランドデザインを示すことは、平時の財政を肥大させないため、そしてまた、緊急時に強い財政を生み出すために必要不可欠な課題であると思います。 国においては、大蔵省は、財政制度審議会の中間答申を受け、一九八一年に財政の中期展望を国会に提出しております。それ以降、毎年一月にローリング方式による見直しをした上で、次年度以降を前提とする財政の中期展望を国会に提出をしております。 財政の健全化、そして財政責任を全うするならば、県の中期財政計画の策定がぜひとも必要であると言わざるを得ません。そして広く県民に公開すべきものであります。それは、財政は県民のものであり、納税者の人権保障、住民による歳入歳出の監査、参加、統制の権利が保障されるとする財政運営の原則であるからでございます。 策定されない理由として、数字が一人歩きをするその心配からか、あるいはまた、県財政の台所事情の厳しい状況が県民に知られるのが怖いのか、憶測せざるを得ないのでございます。県民の不安をなくし、県民に財政の公開、ディスクロージャーをすることからも中期財政計画の策定はぜひとも必要と思うのでありますが、総務部長にお尋ねいたします。 なお、ここに持ってまいりました「新訂財政分析」、これは五十六年に購入しておりますけれども、その当時については、中期でなく長期の財政計画をつくれと自治省は指導しているんです。長期の。確かに状況は違っておりますけれども、こういうふうなことも早くから取り組んでおるということも頭に入れていただきながら御答弁をお願いしたいと思います。  〔総務部長永野義之君登壇〕 ◎総務部長(永野義之君) 中期財政計画についてのお尋ねでございます。 中期的な財政見通しに立った財政運営の必要性につきましては、地方財政法にも「地方公共団体における年度間の財政運営の考慮」として明記されておりまして、健全な財政運営が義務づけされているところでございます。 毎年の県予算編成におきましては、地方財政全体の翌年度の財源不足に対し、マクロ的に財源保障を図るために、政府予算と同時に決定されます地方財政計画を十分考慮に入れますとともに、大型の施設整備につきましては、県有施設整備基金による計画的な対応や交付税措置のある有利な県債の活用、あるいは県債管理基金の積み立てなど、新年度予算の財源確保だけでなく、将来的な財政負担にも配慮しながら対応しているところでございます。 中期財政計画の策定が必要ではないかとのお尋ねでございますが、国の税制改正、特に来年度は、地方消費税の創設や地方交付税の改正、あるいは毎年の地方財政対策が極めて流動的であることなどによる歳入面の不確定要素に加えまして、歳出面でも、この数年経済対策の大型予算が年度途中の補正予算として組まれるなど、安定的な成長が見込める時代とは異なり、予測が極めて難しく、計画という形での作成は困難であります。 しかしながら、国、地方を通しまして財政状況が一段と厳しくなる中で、国体関連事業を初めとする各種プロジェクト推進に伴い、県財政への関心、懸念が高まっておりますことも承知しており、県としましても、必要な社会資本の整備や新たな行政課題に対応していくためにも財政の健全化が不可欠であり、その一環として、今後の財政見通しについて何らかの目安的なものが作成できないか、再度検討を行ってみたいと考えております。  〔田上泰寛君登壇〕 ◆(田上泰寛君) 財政計画はつくらない、困難ということでありますが、見通しの目安を検討したいということで、前回よりも一歩前進したというふうなことだと思います。しかし、何といいましても、先ほど総務部長も十分御認識のとおり、財政に対する県民の不安というものもございますし、事業展開においては必ずその財源の裏打ちというものが必要になってまいります。ぜひとも、国もつくっているんですから、あるいはまた、幾つかの町村もつくっております。きょうは細々言わないということにしておりますので言いませんけれども、財政責任という立場からぜひ、見通しを含めての目安でも結構です。そして、さらにその後、財政計画についての展望をも考慮していただきたいなと、このように思っております。 財政課の職員の皆さんは本当に一生懸命、財政、財源の確保ということに頑張っておられます。厚く敬意を表する次第でございます。なおまた、事業課の職員の皆さんも、自分たちの事業の財源は財政課任せということではなくして、みずからも財政課の職員という意識を持って財源の拡大に取り組んでいただきたいというふうに思います。 私は常々言っております。財源、財政は愛であると、言うなれば、それは与えられるものではないと、奪うものだというふうな思いを持っておりますので、どうか、そういうふうな立場からも、財政計画を含めた財源の拡大をもお願いを申し上げたいと思います。 それでは、次に進んでまいります。 今回は、熊本都市圏西部地域の活性化方策についてお尋ねをしたいと思います。 特にローカル的なことで大変恐縮でありますけれども、旧飽田・天明地区に軸足を置いた質問になることをお許し願いたいと思います。 さて、地域の活性化を図る基本指標として、やはり人口が挙げられております。平成三年二月一日に熊本市に合併いたしました旧飽託四町の人口、昭和六十年と平成七年を対比してみました。それぞれの国勢調査の人口を見てみますと、北部、三二・四%の増、飽田、八・〇%の増であります。これに対し、河内、七・五%の減、そして天明、五・七%の減になっているわけであります。また、平成二年と平成七年の同様の比較でも、北部、一七・六%の増、飽田で三・五%の増であります。一方、河内、四・二%の減、そして天明、二・一%の減と、傾向は同じでございます。特に西部地域の飽田、天明を見ますと、一部市街化区域百二十五ヘクタールを持つ隣の飽田町では三・五%も伸びているのに対し、天明では逆にマイナス二・一%という状況にございます。 また、今年度の小学校の新入生を調べてみますと、中緑小学校では六人です。川口小学校では十人、四校あるうちの残り二校を含めた天明地域全体で八十二名という非常に少ない新入児童の数でございます。いずれにいたしましても、人口はトレンドとしてはマイナス基調にあるということは明らかであろうかと思います。 一方、インフラの整備も東北部地域に比べ大変おくれております。道路網一つにしても、東部方面では国体関連道路の整備が着々と進んでおります。西部地域では、都市計画道路の野口清水線、新土河原小島線、それに熊本港線が整備中であります。しかし、飽田・天明地区には国道五〇一号線、これは平成五年に県道より昇格した道路でございますが、これに係る飽田バイパスの事業ぐらいだというふうになっております。 ようやくにして建設省は、熊本天草幹線道路のうち、海路口─宇土市間、熊本西環状道路、これは旧北部の硯川─土河原間でありますが、この地区を地域高規格道路の整備区間に指定しました。東北部に比べ交通アクセスの整備が大幅におくれており、基盤整備が進んでおりません。各種事業も、東北部地域では数々の事業が展開もしくは構想されている反面、西部地域では熊本港整備、国体プールがメーンであるくらいでございます。 しかも、飽田・天明地区にはこれといった地場産業がなく、ほとんど旧熊本市への就労となっており、地元で雇用できるような地場産業の誘致が必要であります。また、産業、保健医療施設、娯楽施設、文化施設などが不足し、市中心部へ依存しているのが現状でございます。これらの背景には、長い間、市街化調整区域、しかも農振法による農用地域、ただし飽田の一部を除いてでありますが、その地域がほとんどでございまして、開発が抑制された地域であるためだと思っております。 また、地耐力に問題のある軟弱地盤のため大規模な面整備が困難とされておりました。その一方、水田の広がりによる雄大な田園光景、緑川、白川の一級河川を有し、貴重な干潟を有する有明海に面しているなどの可能性、ポテンシャルが期待される面もあります。しかし、自分の土地に家が建てられない、そのため他の市へ出かけていかざるを得ない、他市町村からも入れないなど、現実の問題がございます。天明と川一つ挟んだ宇土市の走潟には分譲住宅が建設をされております。この地域は都市計画の指定がないということもございますが、なぜこの天明に家が建てられないで、これを通り越して走潟に建つのかという素朴な意見があるのも事実でございます。理屈だけでは納得できないという住民感情もございます。 県は、熊本都市圏区域内の人口増加に伴い、市街化を進める市街化区域と抑制する市街化調整区域、いわゆる線引きを平成十年を目途に見直すこととしておられます。飽田の一部を除いて全域が市街化調整区域になっている両地区では、市街化区域への編入を望む声が強いのも事実でございます。 私たちのこの地域は、昭和四十六年の五月十八日に都市計画法が改正されたときに指定されて以来二十五年がたっているわけでございます。もちろん、この地域については、土地基盤整備事業を実施し、施設園芸を初めとする複合農業を基軸としたまちづくりを行ってきたところでございます。しかし、先ほど申しましたように、今日的には農水産業に従事する人口の減少、高齢化などによる農業環境を取り巻く状況は、これまた大きく変わってきております。 今後、東北部の開発の余地はほとんどなく、当然、西部地域への開発の目が向けられなければならないと思っております。しかも、熊本市六十五万の生活用水は地下水に一〇〇%頼っており、この地下水の涵養域は東部地域でございます。その東部地域への過度な開発、都市化、人口集中は地下水質保全から見ても考えなければならない問題であろうかと思います。 定住人口をふやし、地域を活性化させるためにも均衡ある県土づくりが求められております。つきましては、県として、飽田・天明地域を含む西部地域を今後どのように整備をしていかれるおつもりなのか、企画開発部長にお尋ねします。また、線引き見直しの基本的な考え方及び今後のスケジュールについて、土木部長にあわせてお尋ねをしたいと思います。  〔企画開発部長中原広君登壇〕 ◎企画開発部長(中原広君) 熊本都市圏西部地域の整備についてのお尋ねでございます。 同地域は、大部分の土地が市街化調整区域でありますと同時に、その多くが農振法による農用地区域でありまして、また、地質的にお話しにありましたように軟弱地盤であることなどもございまして、開発が抑制基調にあった地域と認識いたしております。しかし、熊本港あるいは県道熊本港線や国道五百一号など、各種基盤整備によりまして、今後地域のポテンシャルの高まりが期待されているところでございます。 都市圏西南部地域の整備につきましては、地元熊本市や経済界、有識者の代表から成る熊本広域都市圏創造会議で策定いただきましたアクションプログラムにおきまして、熊本都市圏の海の玄関口としての熊本港の整備とそれを生かした拠点づくり、豊かな自然環境、すぐれた田園景観といった地域特性を生かしたまちづくり、さらには交通ネットワークの整備といった整備の基本方向が示されているところでございます。また、同プログラムでは、各種事業の県、市、民間の役割分担やスケジュールも明らかにされておりまして、県といたしましては、そこで示された役割分担に従って、各種事業について着実に取り組んでいるところでございます。 飽田・天明地区の整備につきましては、基本的には地元熊本市の取り組みが第一かと存じますが、県としては、今後とも、地元熊本市や関係機関と連携を図りながら、アクションプログラムで示された事業の推進に努めてまいりたいと考えております。  〔土木部長川上隆君登壇〕 ◎土木部長(川上隆君) 熊本都市圏における線引きの見直しの基本的な考え方につきましては、都市基盤施設整備の見通しや民間を含めました地域開発動向、東西のバランスある発展等を考慮しながら線引きを実施してまいる所存であります。 市街化区域に編入するかどうかは、一義的には地元市町の都市計画での位置づけや土地区画整理事業等への地元住民の参加意欲が必要でありまして、計画的な市街地の形成が確実に行われる地域であるかどうかを見きわめる必要があると考えております。 線引き見直しの今後のスケジュールにつきましては、平成八年度中に関係市町が見直しの素案を作成しまして、その上で、県におきまして平成九年度中には国等の関係機関との協議を行い、平成十年度には都市計画決定を行う予定でございます。  〔発言する者あり〕  〔田上泰寛君登壇〕 ◆(田上泰寛君) 御声援をいただきましてありがとうございます。ともども頑張ってまいりたいと思います。 確かに、おっしゃる分にはわかります。まさに線引きそのものが一つの開発を阻害している、逆に言えば、申し上げましたように田園が広がっていると、この調和をどうするのかということで、おっしゃられたように、もちろんこの基礎自治体である熊本市が第一だと思います。そこに住む、暮らしている住民の皆さんの自立的なまちづくりの意欲はどれだけあるのかと、このことが問われるというように私も十分認識をしているわけであります。ただ、これ以上の東部への開発は非常に、先ほど申し上げましたように、水の涵養地域ということも考えますと、もう非常に無理じゃないかなと思います。そういう意味では、可能性があるというのは西部地域であります。 福岡の例を申し上げますと、福岡市が以前水飢饉に陥りました。ずっと東部の方に伸びていったんですね。そしてダムをつくりました。ところが、ダムは御承知のようにおてんとうさまの心次第でございます。きょうのように雨が降ればいいんですけれども、干ばつ、干ばつで、とうとう水が足らなくなってきたんです。ところが、一部地下水を持っていた部分についてはその心配がなかったわけであります。 そういう意味では、やはり地下水をいかに保っていくかとすれば、東部地区への開発はもうこれ以上というような気持ちもいたしますので、ぜひ、そういう意味では、西部に住む皆さんの一体となった取り組みをしていかなきゃならないというふうに思っております。 さて、時間が迫ってまいりましたので、次の課題に入ってまいりたいと思います。 救援米の輸送費に対する財政支援についてでございます。 フード・フォア・オール、「すべての人々に食糧を」というスローガンのもとに、十一月十三日から十七日までの五日間、飢餓の撲滅と食糧安全保障の達成などをテーマに、ローマで世界食糧サミットが開かれました。主催は国連の食糧農業機関、FAOであります。この種の会議が開かれたのは、一九七四年、アメリカが大豆の輸出禁止を打ち出したことで起こった食糧危機以来でございます。 今地球上には、飢えと飽食が同時進行しております。飢えは戦争が絶えない地域や途上国に偏っており、飢えや栄養不良に直面している人の数は八億人を上回っていると言われております。一方、私たち先進諸国は飽食になれ切っております。このような中、地球の砂漠化、温暖化、耕地の減少によって食糧生産が停滞し、世界の穀物在庫は過去最低でございます。そして価格は高騰しております。また、年間に八千万人ほど増加する人口爆発、二〇三〇年には八十九億人に達すると予想されているわけでございます。 FAOによると、飢えや慢性的な栄養不良が集中するのは、アフリカや南アジア、東アジアなどの途上国であり、しかも飢えに直面している八億人以上の者のうち四分の一は五歳以下の子供たちであるという事実でございます。そこで、飢えに苦しむ途上国に対し、私たちは、食糧援助、農業技術支援を行うなど、国際貢献を果たしていかなければならないと思っております。 今幾つかの団体が援助の手を差し伸べる取り組みを行っております。例えば、市民、消費者、労働者、農民などで構成する食とみどり、水を守る九州ブロック県民会議は、日本の水田を守り、食糧、農業の重要性を訴えると同時に、ボランティアとしてアジア・アフリカ飢餓救援米活動に取り組んでおります。昨年度、この団体は、九州全県で四十六トンの米をマザーランドアカデミーを経由してアジアとアフリカへ米を送りました。今年も九州では二ヘクタールを作付し、うち熊本では八カ所一ヘクタールを、減反田を利用し、子供たちの体験学習を兼ねて、田植え、稲刈りを行い、熊本から六十六俵の米を送ることになりました。ただ、現地までの輸送費が非常に高くかかります。一俵八千円でございます。そういう意味では、これらの団体はそれなりに市民に対しての善意を募っておりますけれども、思うに任せないのが現実でございます。 熊本県として、特にこの農業を主軸とした農業立県としての熊本県が、他県に先んじてこのような救援米の輸送費に対する財政支援を講じる手だてはないものか、農政部長にお尋ねしたいと思います。  〔農政部長岩尾映二君登壇〕 ◎農政部長(岩尾映二君) 救援米の輸送費に対する財政支援についてでございますけれども、県民の皆さんが、海外への救援米活動に取り組まれますことは、人道的な支援という見地からのみならず、国内の農業問題や食糧問題を考えていただく契機となるという観点からも、非常に意義あるものと考えております。また、これらの活動を通じまして、農業への理解の促進といった役割を担っておられることも理解できるところでございます。 しかし、地方公共団体による救援米輸送費に対する財政支援は、世界貿易機関、WTOの農業協定の輸出補助金条項に抵触するおそれありというふうに聞き及んでいるところでございます。 食糧問題は、基本的には食糧の確保に困っている国が農業生産力の向上を図ることが最も重要でございまして、行政といたしましては、救援米への助成といった直接的な措置ではなく、農業技術面からの支援が必要だろうというふうに考えております。 現在、このような観点もございまして、海外からの農業技術研修生の受け入れを実施しておりまして、要請に応じまして今後とも対応していきたいと思っております。  〔田上泰寛君登壇〕 ◆(田上泰寛君) かなり厳しい問題、答弁でございましたが、実はここに「お米は生きている」という、これは富山和子先生が書かれた本で、非常にこれは小学校高学年の課題図書ということになっております。この中で、米を含めた水環境、いろんなことが載っているんです。このことを通しながらも、やはり単に生産者の所得を含めたということでなくして、子供の学習といいますか、そういう環境面からもアプローチをぜひしていただきたいなと、こう思うわけでございます。 以前、アサヒビールの会長をされております樋口廣太郎さんが申されておりました、前例がないからやるんだと。前例がないからやるんだということで今アサヒビールはばっと伸びております。一銭ももらっておりませんけれども、そういうような状況でございますので、前例がないからやるという気合いも含めて、今後の取り組みをお願いしたいと思います。 さて、最後の質問に入らせていただきます。 実は、大変残念でありますけれども、きのうの夕刊に、県立大学の女生徒が覚せい剤ということで逮捕されたと。先般総務常任委員会の方で行ってまいりました。県立大学を熊本から国際に向けて発信する大学にしたい、熊本の中核となる大学にしたいという学長とのお話が非常に惨めに感じられたわけでございます。これらについては、十三日の総務常任委員会の中でまた論議をしたいと思います。 さて、先般十一月二十六日、県立小川工業高校で実験中に事故がございました。そしてまた、去年の七月十四日にも、佐世保の中学校で理科実験中に引火し燃え上がり、生徒がやけどを負った事故がございました。今回尋ねる部分については、今、中学生の一年の理科の教科書の中に、固体が溶ける温度といいますか、融点を調べる実験の材料の一つに、パラジクロロベンゼンという有機塩素系の殺虫剤であります。日本では農薬の登録はされておりませんけれども、これは環境を汚染しやすい物質と、さらに毒性については、いろんなデータが出ております。精子の形態異常とか、発がんとか何かの報告もございます。さらには、最近の研究では、アレルギー疾患の原因になるというようなことも指摘をされているわけであります。それで、東京都では既に、都立教育研究所科学研究部長の名前で、このパラジクロロベンゼンにかわるものはないかという文書も発しているわけであります。 さらに、このパラジクロロベンゼン剤、いわゆる通称、パラ剤と申しますけれども、これが公共施設のトイレの中で使用されている可能性がございます。県教育委員会としては、特に、学校、図書館、美術館等についての使用実態を把握されているのか、いないとするならば、今後この使用実態を調査してもらいたい、そのことが明らかになるならば使用中止を指導されるのか、お尋ねしたいと思います。 なお、東京都は、教育長名で、学校教育環境ではできる限り使用しないということが望ましいという通知をさきに出しているわけであります。 以上二点について、教育長にお尋ねをしたいと思います。  〔教育長松尾隆樹君登壇〕 ◎教育長(松尾隆樹君) 去る十一月二十六日の県立小川工業高等学校の実習中の事故についてでございますが、やけどを負われた生徒、保護者の皆様に深くおわびを申し上げますとともに、県民の皆様に多大の御心配をおかけしましたことを深くおわび申し上げます。 事故に際しましては、その直後、職員を派遣をいたしまして事故の状況を把握いたしますとともに、徹底した原因究明を指示したところでございます。また、各県立学校長に対しましても、今後同様の事故の再発防止に努めるよう指導を徹底したところであります。 お尋ねのパラジクロロベンゼンの実験材料としての使用中止についてでございますが、使用する場合は、換気を十分にすること、使用後は回収して保存することなどに十分配慮するよう、安全面の指導の徹底を図っているところでございます。今後も、実験実習中の事故防止や薬品の取り扱いに関する安全対策についても、さらに指導の強化を図ってまいりたいと存じます。 次に、トイレの消臭剤として使用されますパラジクロロベンゼン製剤の学校等の公共施設における使用についてでありますが、通常の使用形態での人体への影響はないとの専門家からの見解を得ているところでございます。なお、このような防虫・防臭剤の原料などには発がんの危険性等も指摘されておりますことから、使用の実態を把握をいたしておきますとともに、研修の機会等で危険性等については十分周知を図ってまいりたいと存じます。  〔田上泰寛君登壇〕 ◆(田上泰寛君) きょうは知事以下それぞれの御答弁賜りましてありがとうございました。ぜひとも、今後とも県行政が前進することを心から期待をするわけでございます。 最後に、この言葉を申し上げてみたいと思います。 福島県の二本松の城址にある、いわゆる戒石銘というようなことでございます。なんじが俸、なんじが禄、民の膏、民の脂、下民は虐げ易くも、上天は欺き難しと、お前の給料は民百姓の汗だと、あぶらだよということでございます。しかし、武士はおのれが非生産者であることを片時も忘れず、自分たちは百姓の労苦によって給料を得ているというようなことであるかと思います。百姓や町民は身分が低い者であるから、ばかにしたり、いじめたりしちゃならぬぞと、そうした場合は、天がその行いを許さない、天を欺くことはできないという、非常に厳しい教えであろうかと思います。 昨今のいろんな官僚の腐敗、さらには我々を含めての政治家のあり方というものが問われる時期に、私を含めてもう一回かみしめながら、今後の県議会発展に向けて、微力でありますけれども取り組んでいきたいと思います。 きょうは大変いろいろと御世話になりましたことを申し上げながら、一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(杉森猛夫君) 昼食のため午後一時十分まで休憩いたします。  午後零時十五分休憩      ──────○──────  午後一時十三分開議 ○副議長(小早川宗一郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 小池美千代さん。  〔小池美千代君登壇〕(拍手) ◆(小池美千代君) 本日は質問の時間をいただきましてありがとうございます。第三回目の質問でございますが、まだまだ緊張しておりまして、要領を得ずお聞き苦しいところも多々あると思いますけれども、最後までどうぞよろしくおつき合いのほどお願い申し上げます。 質問の前に、一言お礼を申し述べたいと思います。昨日の前川先生の質問にありました女性センターの設置につきまして、ことしの六月に私も同様な質問を行いました。そして、昨日、知事の御答弁によりますと、女性センター建設の方向で進めていくということでありますので、大変喜んでいる一人でございます。できるだけ早く建設完成をお願いしたいと思っております。 それでは、通告に従いまして質問に移らせていただきます。 毎日のように報道されております厚生省不祥事におきまして、本県の高齢者福祉施策への取り組みについてお尋ねいたします。 高齢者のための総合的な福祉政策を進めている厚生省においての前厚生事務次官や前厚生省職員の不祥事件は、急激に迫っている高齢者対策への発案者であるだけに、前回の薬害エイズ事件とは若干趣が違い、後世に残る大きな事件であると思います。 そのような事件だけに、福祉関係者を初め、多くの国民のショックと怒り、悲しみは言葉にあらわせません。国民の高齢化社会への老後の不安は九〇%以上の人が感じている中、ゴールドプランへの期待は大きいものでした。その国の福祉政策であるゴールドプランがメッキがはがれてしまったような、また信じられない、信じたくないという複雑な気持ちで、親に裏切られたようなやるせない思いであろうと思います。 地域によっては、ボランティアで活躍されている人々、特にボランティアリーダーたちが福祉介護の意欲をなくすというような声も聞かれました。新聞においても、日々読者の声では、いろんな方の怒りと悲しみの声が寄せられております。熊本県においても、一刻も早く県民に対する不安をなくし、より信頼のある地方に合った福祉政策を進めていただきたいと思います。 我が国は、戦後の発展とともに経済的に豊かな国となってまいりましたが、福祉においては、高福祉国はつくれないと、福祉は地方へ分散したようなものでした。それがまさに今回そうしなければならない結果となったように思われます。福祉は身近な地域で見なさいと、地域で取り組んでいかねばならないと、本気で教えられたような気がいたします。 そこで、今回のような多くの方に不安を与えた厚生省の不祥事件に対する見解と本県におきます福祉に対する取り組む考え及び取り組みの姿勢について、知事の御意見をお尋ねいたします。  〔知事福島譲二君登壇〕 ◎知事(福島譲二君) 今回の特別養護老人ホームの整備に絡む厚生省官僚の一連の事件については、国の福祉行政を推進する立場にあるトップの不祥事であり、大変遺憾に感じております。 高齢者福祉対策は待ったなしのところにあり、今回の問題で福祉行政が後退することのないよう、国においては再発の防止や綱紀の粛正を図り、一日も早く国民の信頼回復に努めていただきたいと考えております。 県においては、急激な高齢化が進む中、県民が安心して暮らすことのできるよう、やさしいまちづくりの推進や介護サービス基盤の一日も早い整備が緊急の課題でありまして、老人保健福祉計画を初め各種施策の着実な推進に努めているところであります。 これらの施策を確実に実行することが、県民の皆様方の不安を解消し、県政への信頼を得ることになるものと考えております。日々福祉の現場で身を粉にして頑張っていらっしゃる皆様方の努力が必ずや報いられるように、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。  〔小池美千代君登壇〕 ◆(小池美千代君) ありがとうございます。 知事が日ごろからおっしゃっています血の通った政策ということでは大変期待しております。お上的な公権の執行という考えだけでなく、住民クラブ的な発想のもと、させていただきますとの心がもしあったとすれば、今回のような不祥事件は起きなかったのではないかと思います。公務員というのは、住民一人一人ができないものをかわりにまとめてさせていただいているというものであると考えております。 ことしの六月か七月ぐらいの話でした。福岡のあるホテルでお隣の席に座っていた方々のお話が耳に入ってきたわけなんですけれども、これは熊本のことではありませんでしたけど、地方に行けば行くほど公務員の方の頭が高い、それはなぜだろうか、恐らく大企業がないから、公務員になることが誇りでありステータスである、そのことからの頭の高さにつながるのかしらねとかいう話が聞こえてまいりました。都会の方からローカルを見た場合の、このような意見であるということに少し寂しさを覚えました。そのようなことのないよう努めていただきたいと思っております。 昨日、坂本先生の綱紀粛正についての質問の中で、知事のお考えがよくわかる答弁をしていただけましたので、知事のお気持ちが動脈硬化を起こさないで隅々まで流れていきますようお願いいたしまして、次の質問へ移らせていただきます。 本県における特別養護老人ホームの認可制度についてお尋ねいたします。 先ほど知事にお尋ねしましたように、今回の厚生省不祥事件は多くの方に悲しみを与えましたが、中でも、何よりも残念なことは、特別養護老人ホームがもうかるものだと言わんばかりの誤解を国民に与えたことであります。それは、一般の実情とは全く違い、特養の運営者や従事者に対する侮辱で、罪だと思います。しかし、一握りの不心得者のために、十把一からげで、全体がそんなものだと見られてしまうような残念な面があります。福祉の仕事をする人、福祉のお世話になる人、その両方へ心を痛ませることになりました。今後二度とこのような事件を出さないためにも、しっかりと反省しなければなりません。 汚職は、個人の資質や綱紀の緩み、自律力のなさだけで発生するものではないでしょう。大きな構造上の問題もあったのではないでしょうか。許認可権と巨大な予算を持つ公務員は、常に誘惑の渦の中に置かれているとも思います。平成七年度は園村先生、それから平成八年度、岩中先生からも特別養護老人ホームの整備への質問もございましたが、本県においての入所の待ちも多く、整備も急がれている中、今回の事件で、誤解から、まじめな方がやる気をなくさないよう、そして入所する方が安心して入れるよう、福祉政策を期待している多くの住民の方の信頼を回復しなければならないと思います。 そこでお尋ねします。本県における特別養護老人ホームの認可における制度はどのようになっておりますのか、お尋ねいたします。今回の事件の問題点を踏まえて、今のやり方でよいのか、今後の改善策はあるのか、本県における認可制度はどのようになっておりますのか、またどのようになされていくのか、福祉生活部長にお尋ねいたします。  〔福祉生活部長佐々木正典君登壇〕 ◎福祉生活部長(佐々木正典君) 特別養護老人ホームは、老人福祉法によりまして、都道府県、市町村、社会福祉法人が設置できることとなっております。本県の場合、新たに施設を設置しようとする者は、まず、施設整備に係る補助採択を受けるために、社会福祉施設の設置等に係る事前協議書の提出期限を定める要項に基づきまして、施設を開設する年度の前々年の二月末までに事前協議書を提出していただくこととしております。 この事前協議書の審査指導に当たりましては、老人福祉施設の創設または増築に係る審査及び指導に関する要項を定めまして、社会福祉法人及び施設についての審査基準を明確にし、各申請者に示しているところでございます。提出された事前協議書について必要な調査を行い、老人福祉施設等整備審査会による厳正な審査を実施いたしまして、施設創設の適否及び優先順位を決定しております。 審査に当たりましては、老人保健福祉圏域の整備率や整備進捗率、県内及び圏域内の適正配置に留意しながら、審査基準に基づき申請者の福祉に対する熱意や認識、資金計画、用地の状況等を総合的に審査し、よりよい事業計画者を選定することとしているところでございます。これらの作業を経て選定された者について、翌年の二月ごろ、厚生省に対して補助協議を行い、五月ごろに補助内示を受け、社会福祉事業法に基づく社会福祉法人の認可を行い、施設の完成後、老人福祉法に基づく施設の設置を認可しているところでございます。 なお、今のままでいいかと言われますと、私どもは今のままでも差し支えないというように考えておりますけれども、厚生省の方でまた今後考えられていくのではないかと思っております。  〔小池美千代君登壇〕 ◆(小池美千代君) ありがとうございました。 慎重に県として作業を進められておるということで、県においては問題はないということで安心いたしました。 福祉の範囲は広く、福祉を食い物にしているとかの新聞記事が載りますと、あらゆる福祉関係の人まで残念な気持ちになります。今後、どの分野においても、一部の方の利益をこうむるような構図になりませんよう、県民を悲しませられませんようお願いしたいと思います。今回の事件で、逆にこれからまじめな方がやれる社会になったのではないかと思っております。 続きまして、住宅改造助成事業について二点ほどお尋ねいたします。 この事業は、在宅の要援護老人、重度身体障害児及び知的障害者がいる世帯に対し住宅改造に必要な経費を助成することにより、要援護老人等の在宅での自立促進、寝たきり防止及び介護者の負担軽減を図ることを目的とすることで取り組まれた事業でございます。 在宅介護がどんどん進んでいる中、在宅がリハビリの場であり、看護、介護の場となる状況を考えますと、在宅介護者にとって大変ありがたい事業であり、社会的にも必要が増している事業でございます。そこで、県のこの事業について、今後のことも踏まえてお尋ねしていきたいと思います。 現行制度では、助成の対象者の年齢が六十五歳以上と制限があり、また所得制限のあることが、利用促進に果たしてつながっていくのかどうか、これらの制限がかえってブレーキとなりはしないか心配しております。といいますのも、同じ制度を取り入れた他県におきましても利用状況が悪く、年齢制限を六十歳以上に切りかえたり、また、障害者の方の利用もあわせてできるような制度と改善したりなされております。お隣の大分県におきましても、所得制限をなくしたりしてこの制度の普及に努めておられます。なぜなら、この所得制限があるためにこの制度を使えず、無理をして寝たきりにつながるケースもあります。これからの制度であり十分なものとは考えておりませんが、制度の改善、改良が今後なされていく余地があるものかどうか、お尋ねしたいと思います。 そしてもう一点は、今改造のみのための助成になっておりますが、ケースによっては増築や改築のときにもやむを得ないと認められる範囲内で工事に要する経費を助成の対象とするとなっておりますが、私は、余り手続がややこしいとみんなあきらめてしまって使わないのではないかと思います。増築、改築のときにも取り入れた方が経費も安くつきますし、便利ではないかと思いますが、いかがでしょうか。新築は別としましても、増改築を原則として対象としないとは、日常的にあるケースにそぐわないのではないかとも考えます。また、助成金につきましても、市町村の財源がなければ使えない消極的制度とならないようにしなければなりません。市町村の財源負担がなければ利用者が利用できないことにならないよう、県の前向きの方策はどうしておられるのか、お尋ねいたします。  〔福祉生活部長佐々木正典君登壇〕 ◎福祉生活部長(佐々木正典君) 高齢者住宅改造助成事業についてでございますが、高齢者の在宅生活を支援し、生活の質の向上を図るためには、住環境の整備が極めて重要であり、今年度の新規事業として、実施市町村に対する補助制度の創設を行ったところでございます。 事業の実施に当たりましては、対象者はおおむね六十五歳以上の要援護老人のいる世帯で、所得要件は生計中心者の前年所得税課税年額が二十万円以下と定めておりますが、この税額によりますと、推計では約七割以上の世帯がカバーでき、より多くの県民が利用できるよう設定したところでございます。また、別途、重度身体障害者などを対象とした同様の制度、障害者住宅改造助成事業も設けておりまして、年齢が六十五歳未満の方々についても利用できるよう配慮をしているところでございます。 なお、助成対象工事は改造を原則といたしておりますが、これはあくまで要援護老人等が日常的に利用し、真に必要な部分での改良を行うということでありまして、ケースによっては、トイレ、ふろの改造など、介護する上で増改築が必要と判断される場合は対象としているところでございます。 初年度である本年度においても、既に十二町村が実施を予定し、さらに来年度は多くの市町村から要望が出ている状況でございまして、県といたしましても本制度の着実な推進に努めてまいりたいと考えております。  〔小池美千代君登壇〕 ◆(小池美千代君) ありがとうございました。 せっかくできた制度ですので、幅広く多くの方に使われるような制度であってほしいと思います。 一つ要望でございますけれども、この改造についての申請というか、相談があった場合に、何度も何度もやりとりしたり、たくさんの書類をつくったり、役場から人が何度も来たりとかするようなシステムでなく、具体的に利用しやすいシステムになってほしいと思います。例えばPTとかリフォームヘルパーとかが行けば一度で片づくように簡単にするとか、きのう坂本先生の質問にもありましたけれども、バリアフリー住宅の展示場とかが一般になされていると、このあたりも一般にわかりやすいし、バリアフリー研究の場にもなると思いますので、またあわせてよろしくお願いいたします。 次に、ショートステイにおける利用期間の延長についてお尋ねいたします。 在宅で介護をしている方を一時的に預かり、介護者負担を軽減しようということで設けられた施設でありますが、そのショートステイにおきまして空き部屋があるなど、利用率が低いようであります。一週間という期間では利用者が利用しにくい期間であると思います。介護者の負担軽減にもつながらないのではないでしょうか。せっかくできた施設が利用しずらくて利用されないのはもったいないものであります。利用者のニーズに合った形にし、利用促進を図るために、ミドルステイ、今はミドルステイという言葉もないようですけれども、ロングステイなどに持っていかれる計画があるかどうか、お尋ねします。 そしてもう一つ、利用率の低い理由に、市町村に財源がないとのことで入所を断られるというような状況でもあるようです。在宅介護の支援のための事業が、建物はあっても財源不足で入所できないなどあってはならないものだと考えますが、市町村の財源の用意はどうなっておりますのか、県の指導をお尋ねいたします。  〔福祉生活部長佐々木正典君登壇〕 ◎福祉生活部長(佐々木正典君) ショートステイについてでございますが、現在、老人福祉計画に基づきベッド数の拡大に努めているところでございますけれども、お話しのように利用が伸びない状況にございます。このため、市町村に対し計画的な利用や利用券の導入などを促すとともに、利用促進のための積極的な広報についてお願いをしているところでございます。 また、利用期間につきましては、原則一週間、最長一カ月の短期間で行っているところでありますが、平成六年度から、必要に応じ在宅と施設との往復を繰り返しながら、可能な限り在宅での生活を維持、持続することができるよう、最長三カ月程度利用期間を延長する弾力化事業を行っており、現在十九市町村十二施設で実施しているところでございます。この事業は国においても拡充の方向であり、さらに市町村においても積極的に取り組んでいただきますよう働きかけてまいりたいと考えております。 また、市町村によっては予算上の理由でショート利用を断られるとのことでございますが、在宅福祉の重要な柱としてショートステイの利用ニーズを十分把握し、必要な予算措置を講ずるよう指導してまいりたいと考えております。  〔小池美千代君登壇〕 ◆(小池美千代君) 今の答弁をいただきまして安心いたしました。在宅介護者もまた、非常に利用できやすい制度に変わっていくので期待されるものと思います。ありがとうございます。 次は、子育て支援につきましてお尋ねいたします。 利用者のニーズに合った保育所の取り組みについてお尋ねいたします。 厚生省が八年度に行った人口動態社会経済面を調査した中で、働きながら妊娠、出産した女性の約七割が妊娠、出産時に悩みがあったと答え、また、保育環境に不安との答えが約六割あったという結果が出ております。そしてまた、最近の地元熊日新聞にも、「子育て環境の不備、仕事を持つ母は大変」という題で、熊本市の主婦から、保育園の閉園時間が午後六時であるので勤務時間の関係で迎えが大変である、延長保育をしている保育園は少ない、母親が働きやすい環境を整える必要があるのではないかという内容が、もしもし電話の欄に掲載されております。延長保育に限らず、現在の保育体系を早急に整備しなければならないのはおわかりのことと思います。 子育て支援策について、現在計画が検討されておりますが、保育所がもっと利用者のニーズに合ったものとなるために、どのような方向で県は考えられておるのか、お尋ねいたします。 また一方では、高齢化、少子化のスピードがまれに見る早さで進んでいることから対策が緊急課題であると言われながら、利用者が利用しやすい現状になるまではなかなか時間がかかるようです。今規制緩和が必要に応じて見直されておりますように、認可保育所以外の施設も十分に利用した保育体系はできないものでしょうか。現在ある認可保育所以外の施設を利用する考えがあれば、当然それには指導、管理という行政のかかわっていく部分は出てくるでしょうけれども、利用者は大変安心してすぐにでも預けられる施設があるということになります。 認可施設以外の施設に在園している子供さんが、今現在五千人以上もおります、県内において。利用している方がそんなにも多いということです。しかし、一般的には無認可施設と呼ばれておりますので、保護者の一部の不安もあるのではないかと思います。その不安というのは、施設に不安を持つというのではありません。施設と保護者との連携はかなりコミュニケーションのとれた密度の高いものであります。私の申します一部の不安といいますのは、子供を集団の施設に預ける場合、今多くの感染症などが取りざたされております。そのような予防のための健診とか、施設の整備を公的施設に在園している子供たちと同じ扱いはできないものでしょうかということです。社会の都合で子供たちに差別があってはなりません。 そしてまた、来年度から上がります消費税の値上げを目の前にして保護者の負担も違ってきます。一方に、認可施設に預けるには消費税は要らないけれども、無認可施設に預ける場合それがかかってきて、やむを得ず認可施設以外を利用しなければ働けない保護者にとりましたら大変痛いものになります。このことにもあわせてどのように検討していただけるのか、お尋ねいたします。  〔福祉生活部長佐々木正典君登壇〕 ◎福祉生活部長(佐々木正典君) 利用者のニーズに合った保育所の取り組みについてでございますが、県におきましては、女性の社会進出や核家族化、少子化が進む中で、子育て支援策の充実を重要課題ととらえまして、国の緊急対策等五カ年事業に基づき、時間延長保育や乳児保育、一時的保育等多様な保育ニーズにこたえる特別保育の取り組みを積極的に進めているところでございます。さらに、少子化や過疎化の進行に伴い、一保育所で国庫補助基準に合うだけの保育ニーズが確保できない地域もあるため、平成七年度から、小規模であっても幾つかの特別保育に取り組む保育所をモデル保育所として指定し、県単独事業で補助を行い、利用者のニーズに合った保育の取り組みを実施しているところでございます。 また、現在県におきましては、二十一世紀に向けた総合的な子育て支援計画であるくまもと子どもプラン21を策定中でありまして、その中で、今後とも時代の要請に沿った利用しやすい保育所の整備も考えてまいりたいと思っております。 次に、無認可保育施設についての対応でありますが、現在県内には、六百十九カ所の認可保育所のほかに約百七十カ所の無認可保育施設がございまして、約五千人の児童が在園をしております。これらの施設がさまざまな保育ニーズにこたえていることは県といたしましても認識をしているところでございます。しかし、無認可の施設に対し公的施設と同等の助成等を行うことにつきましては種々困難な点がございまして、現に九州各県におきましても助成をしている事例もない状況でございます。 先日、十二月三日でございましたが、国の中央児童福祉審議会から児童福祉法改正について中間報告が出されましたが、その中で、認可保育所以外の保育施設等を地域の保育資源として位置づけるべきであると述べられているところでございますので、今後の対応につきましては、この問題に対する国の動きを見守ってまいりたいと考えております。  〔小池美千代君登壇〕 ◆(小池美千代君) 大変前向きな御返事をいただきましてありがとうございます。 少子対策だけでない問題だと思っております。社会的に必要であるから生まれた施設でありまして、そして、今日それらの施設が社会的に働く女性たちを支えているのも事実であります。それをなくしてしまうことはもうできないでしょう。後で質問をいたしますけれども、バブルが破壊いたしました後失業者はふえ続けております。経済も決して底をついたとも思えません。苦しい生活の中、まだまだ働きたい女性もいるでしょう。また子供も産んでもらわなければなりません。認可施設ができた五十年前から環境はすっかり変わりました。そのときは立派な制度でございました。でも今日は社会のニーズに合っていないというのは現実でございます。社会の変化や経済面、すべての環境の変化を踏まえた未来へ向けた県の子育てプランができますよう、ぜひともお願いいたします。 次に、精神障害者の保健福祉手帳制度についてお尋ねいたします。 平成五年十二月の障害者基本法の制定により、精神障害者も身体障害者や知的障害者とともに福祉の対象として明確に位置づけられ、国や地方公共団体に対して、その責務が明らかにされたところでございます。これを踏まえ、昨年、精神保健法が精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に改正され、精神障害者の福祉対策の充実を図るために、新たに精神障害者についても手帳制度がスタートしたところでございます。昨年十月の交付開始以来、全国で五万人余り、本県では一千五百人ほどの方に手帳が交付されたとのことでございますが、大きな期待を持って手帳を受け取ったものの、手帳を持つことで享受できるメリットが少ないとの声が聞こえてまいります。 手帳制度については、身体障害者には身体障害者手帳制度が、また知的障害者には療育手帳制度がありますが、これらについては、行政を初め民間企業等の協力を得て、それぞれの障害特性に応じさまざまな支援事業が行われております。 精神障害者の方々は、その疾病のため社会復帰や社会参加に多くの障壁を持ち、また、治療の長期化により経済的にも多くの負担を負っておられます。県では、全国でも数少ない県立の精神障害者社会復帰施設、あかねの里を設置、運営し、総合的な社会復帰対策の充実に努められておりますが、障害者の方々の社会復帰や社会参加をさらに進めていくにも、福祉対策の充実が不可欠であります。 身体障害者など他の手帳所持者の方々に対する援助事業は、制度発足以来、住民の理解も得つつ、徐々に拡大が図られてきたもので、一朝一夕に準備されたものではありませんが、精神障害者に対しても、他の障害者に対し行われている援助については同様に実施していただきたいものと思っております。 今後、県として精神障害者の保健福祉手帳の制度の充実についてどのように取り組んでいかれるのか、衛生部長にお尋ねいたします。  〔衛生部長星子亘君登壇〕 ◎衛生部長(星子亘君) 昨年精神保健法が改正されまして、精神障害の方々に対する人権に配慮した適正な精神医療の確保はもとより、他の障害者と同様に、精神障害者についても、その自立と社会参加を促進させるということのために福祉対策の充実強化が求められているところでございます。 この福祉対策の目玉として精神障害者保健福祉手帳が制度化されて、昨年十月から交付を始めたばかりでございますが、交付件数はまだまだ少ない状況でありますけれども、全国的に見れば、本県の交付件数は上位に位置しておりまして、精神障害者の方々の手帳制度に対する期待がうかがわれるところであります。 この手帳の所持者に対しましては、障害等級により異なりますけれども、現在のところ、所得税の障害者控除等の税制上の優遇措置及び通院治療を援助する通院医療費公費負担制度や生活保護の障害者加算の申請、この申請手続の簡略化、さらには七十歳を待たず六十五歳からの老人医療の適用、そういった利点がございます。今後徐々に制度の充実が図られていくものと考えています。 県といたしましても、手帳所持者に対する福祉対策の充実に努めますとともに、市町村初め関係機関に対しても積極的な取り組みをお願いしているところでございます。例えば熊本市では、精神障害者保健福祉手帳所持者に対してもさくらカードという無料パスが発行され、バス、電車、市の公共施設利用の無料化というものを実施していると伺っております。 今後とも、本県の精神障害者の福祉対策の充実に向けて、なお一層努めてまいりたいと考えています。  〔小池美千代君登壇〕 ◆(小池美千代君) 答弁をお聞きいたしまして安心いたしました。精神障害者の方も大変期待を持って待っていらっしゃると思いますので、今後の取り組みをよろしくお願いいたします。 次に、要望を申し上げたいと思います。 知的障害者、高齢者の権利擁護相談センター設置について要望を述べさせていただきます。 痴呆性高齢者に対する援助をどうするかというような問題が各地で取り上げられてきております。高齢者世帯またはひとり暮らしの高齢者が急増している中、金銭面のトラブルほか虐待行為などが後を絶たず、これからの社会問題とし、現在痴呆性高齢者に対する具体的な援助活動は弁護士紹介を除いて行っていない状況であります。本県においても、高齢化は全国より十年早く進んでおりまして、深刻なテーマとして考えなければならない状況にあると思います。 痴呆性高齢者だけでなく、知的障害者の方の権利擁護をどうするのか、親御さんからしてみると、自分たちが亡くなった後の子供さんの財産管理も含めて将来を心配されている方が多い今日です。意思能力に問題のあるという点では痴呆性高齢者や知的発達障害者と差異はなく、同様の被害も多く受けている状況にあります。意思能力のない人に対する援助をどうするのか、禁治産宣告をなし得る場合を除いて具体的な援助活動をなし得ない状況にあります。意思能力のない人の方が被害などもより深刻であります。成年後見制度改革論議の進展を見守りながら、何らかの対応を検討し始めていただくことを要望したいと思っております。 続きまして、中高年齢者及び若年失業者の雇用対策についてお尋ねいたします。 最近の我が国の経済は緩やかに回復傾向にあると言われておりますが、私は決して、先ほども申し上げましたけれども、回復傾向にあるとは思えません。依然として先行き不透明感をもたらしている状況にあると思います。特に雇用面についてみると、こうしたことを背景に、完全失業率も過去最高を記録し、有効求人倍率も低い水準で推移しています。 十一月十二日の日経新聞に、製造業雇用百十七万人減、一ドル百二十円になっても製造業の雇用者は百十七万人減少するとの試算が出ておりました。産業の空洞化が予測を上回るペースで進むと見られております。たとえ五年後に一ドルが百円と円高になったとしても、リストラや生産拠点の海外移転で製造業の雇用は百二十四万人減少すると出ております。八年間で六十四万人減少するとの二年前の試算より急激な減り方になる予測であります。より深刻なのは、もし百二十円の円安になっても百十七万人減少するということです。 本県においても、企業の海外シフトが進み、弱電、縫製業を中心として多くの事業所の閉鎖や縮小などが発生し、また、中高年齢者を中心にリストラが行われ、大量の失業者が発生しております。このような中で、これら家族生活の中心となる四十代、五十代の方々の雇用対策はどのような対策がとられているのか、お尋ねいたします。 一方、企業の採用意欲の低下から、新規学校卒業者の就職戦線は大変厳しいものがあり、就職が決まらないまま卒業する学生が私の周りにも数多く見られます。新規学校卒業者は、これからの日本を支えていかなければならない重要な戦力でありますが、これら未就職の新規学校卒業者の雇用対策をどのように展開されているのか、あわせて商工観光労働部長にお尋ねいたします。  〔商工観光労働部長吉丸良治君登壇〕 ◎商工観光労働部長(吉丸良治君) 最近の雇用失業情勢を見ますと、全国の完全失業率が三・四%と依然として高い水準にあるなど、大変厳しい状況が続いております。本県におきましても、本年十月の有効求人倍率は〇・五八倍と厳しい状況にあります。特に四十五歳以上の中高年齢者につきましては、求人が少ないことなどから有効求人倍率は〇・二一倍と、さらに厳しい状況でございます。 こうした状況に対しまして、労働者を解雇することなく、休業させることにより雇用の維持をしばらく図っていくという、そういう企業に対して、あるいはまた、一定の不況業種等の企業から他の企業へ出向あるいは再就職あっせんにより労働者を受け入れた企業などに対し支給されます国の助成金制度を、こういうものを精いっぱい活用することによりまして、できるだけ失業の予防にまず努めているところでございます。また、不幸にして失業された方々に対しましては、公共職業安定所に求人開拓専門員を配置いたしまして、求人の積極的開拓に努めているところでございます。 また、新規学卒未就職者につきましては、本年一月に、熊本市の中心部に熊本学生職業相談室、これを開設いたしまして個別の求人開拓に努めるほかに、来春卒業予定者を対象とした合同就職面接会を実施するなどいたしまして、新規学卒者の就職促進に努めているところでございます。  〔小池美千代君登壇〕 ◆(小池美千代君) ありがとうございました。 次は、産学共同研究の推進による企業の育成についてお尋ねいたします。 失業者が増加しているということは、いろんな状況も考えられる中で、一方では、社会の企業が雇用者を必要でなくなってきているということも考えられるのではないでしょうか。コンピューターの普及など、特に影響が中高年者に出ているように思います。企業が人を要らなくなってきている以上、働こうとする人たち、そして就業者を育てている学校教育においても変わっていかなければなりませんでしょう。そういう現象に関して、行政が積極的にかかわっていかなければならない時代にあるように思います。新しい創造のもと、ニュービジネスの振興を図るということから、企業家を育てていく方向へ行政も目を向けていかなければならないと思います。 本年、日本学術会議におきましても、転換期にある工学と産業のかかわりについて、産業界の意識調査とその考察において、多くの企業は独創的な産学が共同して産業技術に関する教育に当たる必要があると考えていると報告してあります。産業界の協力は十分に得られる環境にあるとしております。全国的にもこのような動きが出てきておりまして、九州大学は産学連携博士コースを新設し、実践的な能力を身につけた博士を育てることとしております。沖縄大学におきましても、沖縄経済の活性化策とベンチャー企業に関する講座を学生と一般を対象に始め、ニュービジネスの発案者には、県内の企業がエンゼルとして五百万の融資を行うとなっております。 通産省と文部省におきましても、共同で私立大学の研究施設整備支援に乗り出しました。大学の研究施設の拡充と同時に、産学共同研究の専用施設を併設する場合に補助金を支給するというものであります。第一号は立命館大学がとっております。この制度もまた地域のベンチャー企業の振興につなげたいとの考えのもとにあります。まだまだ全国的に活発にこのような動きが始まってきております。 県におきましても、県工業技術センターにおいて、このような取り組みが行われてきております。地元大学が大企業とばかり研究するのではなく、中小企業と結びつき、大学の持っている技術、文化面の蓄積を社会に還元し、ベンチャーを育てるということでは今までにない試みであり、地元中小企業の方の期待も大きいものであります。 中小企業独自にベンチャーを考えるのもなかなか困難でございますし、また大学独自にやりなさいといっても難しいものでございます。行政の積極的なコーディネートにより産学の共同体制ができ上がっていくことは、地域へ大きく貢献していくものと考えます。将来には、ビル・ゲイツのような人が生まれるかもわかりません。今までのベンチャー支援は、銀行が投資する投資ブームでありまして、また行政だけが一生懸命指導したりの形でありましたが、これからは地元大学を生かす産学共同研究によるベンチャー育成に期待したいものです。 そこで、県にお尋ねいたします。本県におけるこのような取り組みの現状と今後の方向についてどのようにお考えなのか、商工観光労働部長にお尋ねいたします。  〔商工観光労働部長吉丸良治君登壇〕 ◎商工観光労働部長(吉丸良治君) 二十一世紀を視野に入れた産業の活性化を図るためには、新たな産業分野の開拓に積極的に取り組むことが求められておりますが、そのためにも大学の果たす役割は大変大きいものがあると思っております。産学の連携が一層重要になってくると考えております。 現在、熊本大学では、大学と地域産業界との連携を強化することをねらって、テクノ・リサーチパーク内に地域共同研究センターを設立いたしまして、年間数十件に上る産学の共同研究を行っております。また、県といたしましては、大学、産業界、そして行政の共同研究会としての熊本知能システム技術研究会やバイオテクノロジー研究推進会の支援を行っておりますほかに、県の工業技術センターにおきましては、本年五月末に発足いたしました福祉機器研究会を初めとする十件余りの産学行政一体となった共同研究を進めているところでございます。 県の電子応用機械技術研究所を中心としましたこれまでの産学共同研究の成果といたしまして、その一部でございますが、点字読み取り装置やあるいはミカンの糖度測定装置等もございますが、これらは既に企業化に移されているところでございます。 このように、本県におきましても、産学行政の連携は一定の成果を得ていると認識いたしておりますが、今後、工業技術センターや電子応用機械技術研究所によるコーディネート機能をさらに強化いたしまして、産学連携のもとで新しい企業化、そしてベンチャー育成にさらに努めてまいりたいと考えております。  〔小池美千代君登壇〕 ◆(小池美千代君) ありがとうございます。 地域産業の活性化のためにも、積極的な県の取り組みをぜひお願いいたします。 次は、福祉の視点からの交通機関等の整備について、企画開発部長土木部長にお尋ねいたします。 公共交通機関におけるバリアフリーに対する県の取り組みについて。 県は、人にやさしいまちづくり条例や推進計画を策定してやさしいまちづくりを推進しておられますが、この中には交通体系整備の視点も含まれております。人に優しい交通体系を進めるに当たっては、まちづくりの視点や公共交通機関からの検討の必要性もあります。今後の高齢者社会を考える場合、人の移動において公共交通機関の位置づけはますます重要となってくるでしょう。 本県の市民グループにおいても、公共交通機関を中心にしたまちづくりを推進するため、欧州各都市の状況を視察、調査して研究発表を行い、全国的にも活動を進めているグループもあります。県におきましても先進国の調査等がなされてきていると思いますが、もしなされていないならぜひ見てほしいと思いますが、公共交通機関と人との関係からまちづくりの考え方を進めていただくためにも、このような調査等が生かされたものとなりますようお願いいたします。 特に、市民グループが提唱してきておりますノンステップ低床バス、ノンステップ低床路面電車の導入による効果は、説明するまでもなくおわかりのことと思います。超高齢社会を目の前にし、高齢者の社会参加を呼びかける一方で、高齢者が外出しにくい道路状況とか、体に負担のかかる乗り物、また危険が伴うものであったりしますと外出をしなくなるでしょうし、介護が必要な高齢者への施策は不可欠でありますが、同時に、ますますふえる元気高齢者のための対策も忘れてはなりません。安心して社会に溶け込むことがままならず、阻害感を募らせ、新たな要介護者になりかねません。そうなると社会の活性化は急速に低下するでしょう。 安全で快適な移動による高齢者や障害者等の社会参加には、公共交通機関、特に市民に身近な公共交通機関であるバスの整備が必要と考えられますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、企画開発部長にお尋ねします。 次に、あわせまして、すべての人に優しい道路づくりについて、土木部長にお尋ねいたします。 段差解消、狭小幅員の解消、視覚障害者誘導ブロックの設置、高齢者、障害者に配慮した舗装、空き地や未利用地を利用した高齢者憩いの広場の設置等を考えた上での道路づくりがなされていると聞いておりますが、実は私自身、日ごろからよく滑ったり転んだり、捻挫したりするものですから、常に歩くときの足元、足回りには気にしているわけでございますが、いまだ安心してじゃんじゃん歩けるような整備状況にあるとも思えません。公共施設の前においても、歩きにくい、雨が降れば滑りやすいといった苦情が結構上がっているように聞きます。県庁前もそうでございますし、県立劇場前も歩きにくいようでございます。 そこで、やさしいまちづくり条例を踏まえて、歩道の段差解消や高齢者、障害者に配慮した舗装等の現状と今後の整備方針についてお尋ねいたします。  〔企画開発部長中原広君登壇〕 ◎企画開発部長(中原広君) 公共交通機関のバリアフリー化に対する県の取り組みについてのお尋ねでございます。 現在、県におきましては、やさしいまちづくり条例やこれに基づく推進計画を踏まえまして、種々の分野でバリアフリー化に取り組んでいるところであります。このバリアフリー化の推進に当たりましては、高齢者や障害者などの移動の手段の確保が重要でございまして、特に高齢者や障害者などの重要な移動手段である公共交通機関の果たす役割が重大であると、かように認識しております。 そこで、公共交通機関の中でも特に住民生活に密着するバスにおきまして、県の補助を受けた熊本都市圏の民間バス事業三社と熊本市営バスのモデル的な取り組みとして、平成七年三月にリフトつきバスの導入が行われたところであります。現在、バス事業者において、バリアフリー化に向けさらなる自主的な努力もなされているところであります。 いずれにしても、公共交通機関におけるバリアフリー化の推進に当たりましては、県民の皆様の支援、とりわけ交通事業者の理解と協力が不可欠であると考えております。県といたしましては、今後、関係団体の意見も十分に踏まえた上で、やさしいまちづくりについて交通事業者の理解と協力が得られるよう働きかけてまいる所存でございます。  〔土木部長川上隆君登壇〕 ◎土木部長(川上隆君) やさしい道路づくりにつきまして、県では、高齢者、障害者が利用する頻度の多い施設等を中心として、その周辺の歩道の段差解消や歩行者の安全に配慮した舗装、さらに、視覚障害者誘導ブロックを設置するなど、積極的な整備を行っております。 県では、熊本都市圏におきまして、国、市と一体となって、これらの事業を計画的かつ総合的に推進してきているところであり、主要地方道熊本高森線ほか九路線を実施しております。今後は、熊本都市圏以外の地域につきましても整備促進を図ることとして、現在調査に取り組んでおります。  〔小池美千代君登壇〕 ◆(小池美千代君) どうもありがとうございました。 先ほども申し上げましたが、本県の市民グループにおいては、やさしいまちづくりに対する種々のノウハウの蓄積がありますので、施策の推進に当たっては、これらの関係団体の意見を反映させていただければと要望いたします。 また、公共交通機関のバリアフリーの整備に当たっても、とりわけバス整備が急務と思われますので、条例の中にもうたわれていることですが、県からの何らかの公的支援がなされないとなかなか低床バス等の導入は難しいと思われますので、この点もぜひ検討していただければと、あわせてお願い申し上げます。 最後に、県に要望といたしまして、県立の総合リハビリセンターの設置をぜひお願いしたいと思います。 少子化と高齢化の進展に関しまして、人の住む社会の環境の変化も激しいものです。幼稚園、小学校が廃園、廃校になり、かわりに高齢者対策の施設がどんどんできてきております。高齢化社会と呼ばれるように、化けている社会であります。恐らく、町の信号の速度も変わり、車のスピードも変わり、高齢者の好むものが売られ、町並みも変わり、今までに住んだことのない未知の世界に生まれ変わっていくでしょう。そういう変化に備えて、正しく、必要な形で変化することが望ましく、間違った設備への投資はむだで、危険で、効率の悪いものとなりますでしょう。そういうことを踏まえて、これからのまちづくりの核となるのが、高齢者、障害者を対象としたリハビリセンターではないかと考えます。 医療が急速に進んできた中、十年前には助からなかった人でも、今は脳外科とかの普及によって、いろんな複雑な障害を持った方がリハビリを行い、在宅医療の推進とともに、家庭で生活を送っておられる状況であります。理学療法の分野におきましても、十年前と違って、医療の進歩に伴い複雑な機能障害の方がふえてこられて、自分たちも研究、研究でありますとのことでございました。 熊本におきましては、水俣病の問題がありまして、これは当時の大橋先生とか玉井先生が水俣病関係で理学療法士をたくさん熊本へ連れてこられた経緯がありまして、今では全国的に理学療法士が熊本は一番多いという県になっております。 しかし、今からはどうかといいますと、心配を覚えます。全国各県において、高齢化社会のまちづくりへ向けてリハビリセンターを強化しているところがどんどんできてきております。兵庫県におきましても、兵庫県立福祉のまちづくり工業研究所の研究棟と──時間がなくなってきました。そういうリハビリセンターを核として、介護実習センターとか、それから臨床、それから研究、教育と、いろんなその分野において、そこから、これからのまちづくりとかバリアフリーを考えたまちづくり、介護、いろんなものが吸収されていくものと思いますので、ぜひ総合的な、長嶺にはございますけれども、あれは授産センター的な役割のように思います。大がかりな総合センターをぜひ今後も検討していただきたいと思います。 済みません、時間がなくなりまして、きょうは最後までおつき合いいただきましてありがとうございます。(拍手) ○副議長(小早川宗一郎君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明十一日は、午前十時から会議を開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第四号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後二時十四分散会...